人財育成の仕組みづくり

人材育成で重要視される「自己成長」を促すポイント

企業が人材育成に取り組む際、必ずと言っていいほど挙がる重要なキーワードがあります。
それが「自己成長」です。

近年、企業では、自己成長できる自律型の人材であることを社員に求めることが多くなりました。しかし、人材育成の場で企業が重要キーワードとして自己成長を掲げるということは、裏を返すと、自己成長できる自律型人材であることが難しいということ。

そもそも、自己成長できる自律型人材とは、どういう人材なのでしょうか?
今回は、自己成長について解説しながら、自己成長を促すポイントをご紹介します。

人材育成における「成長モデル」とは?

人材育成の場で重要視されている「自己成長」とは、そもそもなんなのでしょうか?
国語辞典をひくと、
「自分で努力して成長していくこと。自ら促して成長していくこと。」
と書いてあります。

つまり、成長の中でも、頑張らなくてもできるような漫然としたものではなく、自ら意識的に取り組み、努力することで得られる成長だということです。

例えば、子どものころの身長。
ほとんどの方は、子ども時代、自分で「身長を伸ばす!!」と意識しなくても、自然と伸びたかと思います。これは、努力しなくても、生物学上得られる成長ですので、自己成長とは言いません。
(もちろん、毎日身長を伸ばすために、牛乳を飲んだり、睡眠時間をたくさん確保したりという努力を欠かさず精一杯行っていた、となると話は別かもしれませんが…)

では、なぜ企業は従業員に、自己成長を求めるのでしょうか?
それは、以前より仕事が複雑になってきているからです。

一昔前、高度経済成長期や、産業革命期といった時代は、単純作業の仕事が多くありました。
ねじを締める、箱に詰める、ボタンを押す、など、少し極端ですが、言われたことを、言われた通りにやる、マニュアル業務の遂行が重要だったのです。
マニュアル業務の遂行が重要な中、一人がマニュアルと違うことを始めると、企業としては困ってしまいます。
なので、言われたことを言われた通りにやることが、重要視されていたのです。

ところが、近年はVUCA時代と言われ、社会情勢が激動し、先行きが見えず、誰も経験したことがないような事態が起こるようになってきました。企業は、マニュアル業務だけで対応できなくなり、柔軟な対応や創造性が求められるようなシーンが増えてきたのです。

そうなると、企業はいろいろな観点や価値観が必要になってきます。
企業が指示を出し、一から10まで、手取り足取り支援して、従業員を育てるやり方での人材育成は、マニュアル業務の遂行ができる人材を育成することに向いています。

いろいろな観点や多様な価値観を生む人材の育成はできません。そこで、フォーカスが当たったのが、“自分で努力”したり、“自ら促し”たりして成長する方法、自己成長だったのです。

人材育成で重要視される自己成長の種類

こうして企業から重要視されるようになった自己成長ですが、自己成長にもいくつか種類があるので、代表的なものを紹介します。

①繰り返しや反復による成長
何度も何度も繰り返し行うことで習熟し、成長していく自己成長です。最初はうまくできなくても、何度も繰り返し挑戦し、努力していくことで、できるようになる、というものになります。

新入社員に、「まずは言われたことをきちんとできるようになろう」と伝えることが多いですが、それはこの自己成長を促そうとして、意識づけしているのです。

②目的・目標から改善意識を持つことによる成長
自分の中に目的や、具体的な目標をもって、そこに到達するために、試行錯誤することで学びや気づき、習熟を得て成長していく自己成長です。

若手社員に向けたフォローアップ研修などでは、目標と実行計画を作るようなことが多いですが、それはこの自己成長を促そうとして、場を提供しているのです。

③他者とのシナジーによる成長
自分以外の他者や、チームから得た気づきや学びをもって成長していく自己成長です。
他人に言われて気づいて意識が変わった、自分では思いつかなかった良い手法を見つけよりうまくできるようになった、というものになります。

部下育成研修などで、ほかの人たちがどんなふうに部下育成に取り組んでいるか、シェアするようなワークが多いですが、それは、この自己成長の機会を提供しているのです。

一言に自己成長、と言っても、いろいろな自己成長があります。
企業が人材育成の場で、自己成長を促すためには、漫然と「自分で自発的に動いて、ちゃんと成長しろ、努力しろ」というだけではいけません。努力の方向づけを行い、いくつか種類のある自己成長の中から、方向にあった自己成長の意識づけや場、機会の提供が大切なのです。

人材育成で重要視される自己成長を促すポイント

このように、企業が従業員の自己成長を促すためには、抑えなければいけないポイントがいくつもあります。
今回は、その中から見失ってはいけない3つのポイントをお伝えいたします。

ポイント1:目的を明確にする
ここまで読まれて気が付かれた方もいるかと思いますが、自己成長はあくまで成長する方法の一つ、すなわち、手段です。
自己成長すること自体が目的化すると、何のために自己成長をしているのかわからなくなります。そして、何をもって成長というのかすらも、不明瞭になっていきます。結果的に自己成長の促進にはなりません。

自己成長を促進するためには、何をもって、「成長した!」と実感できるかがわかるように、自己成長の目的を明確にすることが大切です。

自己成長する自律型の人材、という耳障りの良い言葉に惑わされず、なぜ自社が自己成長を求めているのか、そもそも自己成長である必要はあるのか、振り返ってみましょう。

ポイント2:成長したい!と思える動機を大切にする
自己成長は、“自分で努力”したり、“自ら促し”たりして成長する方法です。ということは、自分で努力する理由がなければ、行うことはできない手法になります。
そのため、「成長したい!」という個々の気持ちを大切にすることが重要になります。

人によっては仕事の中で悔しい想いをして、それをばねに成長したい、と思う人がいるかもしれません。
その人に向かって、「そんなことは忘れて、もっと気を楽にして。もっと簡単な仕事をやってゆっくり成長していこう!」と励まし、自己成長を促しても、自分が望んだ「成長したい!」という気持ちとは違う方向なので、モチベーションが下がってしまうかもしれません。

そんな中で、簡単な仕事の中から自己成長をしていくのは難しいでしょう。自己成長を促す際は、一人ひとりの成長したい!と思える動機を大切にすることが重要になります。

ポイント3:ライフワークシナジーを意識する
ポイント1とポイント2を踏まえた上で、ライフワークシナジーを意識すれば、ますます自己成長を促すことができます。ライフワークシナジーとは、プライベートが仕事に、仕事がプライベートに、それぞれ良い影響・相乗効果をもたらす、という考えです。仕事とプライベートを分けて考え、バランスをとるライフワークバランスとは違います。

企業が従業員に求めていること、一人一人がやりたいこと、これらが重なる部分があるはずです。この重なっている部分を意識しつつ、従業員一人一人ができることを増やしていく努力することができれば、仕事にもプライベートにも良い相乗効果が生まれ、より自己成長する意欲が湧いてきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

近年、企業が従業員に求める自己成長について、その背景と種類、促すポイントといった情報をお伝えしました。
企業側からすると、従業員の自己成長とは、いかにも万能で、取り組むべき当たり前のいい話に感じますが、あくまでたくさんある育成手法の一つだということを忘れないことが大切です。

自己成長とはどういった手法なのか、知るところから初めて、適切に従業員の成長を促していきましょう。

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