人財育成の仕組みづくり

人材育成における理想の成長モデルとは?

企業のますますの発展に欠かせない要素の一つである「人材育成」。
会社の理念や実績から「このような人材になりたい!」という理想を持って入社してきてくれる新しい社員が、入社してみたら思っていた方向性と違ってモチベーションが下がってしまったという事にならないようにするためにも、成長モデルを常に明確にしながら仕事に取り組むことが理想です。

では、そのような環境作りを行うためにはどのようなことについて気を付けたらよいのでしょうか。
まずは成長モデルとはどのようなものなのかというところから見てみましょう。

人材育成における「成長モデル」とは?

「理想のモデルさんはいますか?」と聞かれたとき、誰が頭に浮かびますか?
このような質問をされたとき、海外の雑誌の一面を飾った方や、駅前の大きな広告を飾った方など、頭に思い浮かんだ人がいるのではないでしょうか。
ここで「モデル」といわれると、自分の憧れの人や、理想とする人など「素敵だな」というイメージがあると思います。

これは仕事においても同じだと思います。
「今後どのような人材になりたいのか?」という質問をした際に、現在その人が思い描く理想の成長モデルが思い浮かぶと思います。逆に思い浮かばない場合、今後の仕事の目標を見失い、モチベーションの低下につながる可能性もあります。

またこれは企業でもいえることで「どのような企業にしたいのか?」と質問されたときに、会社としての目指すモデルが明確になっていることが理想です。しかし、今自分の会社はどのような時期で、どのような目標を掲げたら良いのか悩んでいるという企業も中にはあるのでないでしょうか。

今回はまず企業成長モデルを基にどのような対策をしていけばよいのか見てみましょう。

人材育成のために企業成長モデルで現状を把握しましょう

頭を抱えて悩んでいた問題を解決して喜んだ矢先に、さらに新たな問題が発覚します。仕事においても日常の中でも同じようなループにはまって、頭を悩ませた経験を人生で一度はした人がほとんどではないでしょうか。

課題に対し悩んでいる期間は苦しい期間ではありますが、課題を解決して次のステージへ進むことは成長において非常に重要なプロセスです。

企業もそのように一進一退を繰り返しながら、徐々に成長をしていきますが、企業の成長における課題について、グレイナーの「5段階企業成長モデル」があります。これは、ラリー・E・グレイナーが1979年にハーバード ビジネス レビューに発表した論文に掲載されている企業の発展モデルで、企業が事業を拡大していく中で成長するための条件と、成長していく過程の中で乗り越えなくてはならない組織課題を説明しています。

では5段階の内容を詳しく見てみましょう。

第1段階 創造性による成長(3~50人規模)

創業期と呼ばれる時期となっており、0から1を作り出す重要な時期です。創業者が従業員の統率を取りながら、目標に向かって引っ張っていく必要があります。これが創造性による成長です。

ここで訪れる課題は「リーダーシップの危機」です。
事業が軌道に乗り始め、売上が上がり、従業員を増やし始めると、従業員のサポートなどの業務がさらに増え、拡大のスピードに追い付けなくなり、リーダーとなる創業者の限界に達し、リーダーシップの危機が訪れるのです。

それを回避するためには、リーダーシップをとって他の従業員に指揮をしながらどんどん仕事を割り振って任せていき、しっかりとした組織を構築する必要があります。人材育成の観点から見ても、部下に仕事を割り振ることはとても重要です。プレイングマネージャーになりすぎないように、部下や従業員が仕事を割り振り、仕事ができるようにサポートすることを意識しましょう。

第2段階 指揮による成長(50~100人規模)

組織が構築され始めると、リーダーは自分で仕事をこなすことよりも全体を把握しながら指揮を行う立場となります。また組織内部の階層化も進み、階層の高いものが低いものに対しさらに指揮をして仕事を回すようになります。これが指揮による成長です。

ここで訪れる課題は「自主性の危機」です。
上からの指揮・指示を待つような従業員が増えると、指示を行う側の力量が試されるようになります。もし、指示が正しく行えなかったり、自主性をもって動く姿勢が見受けられない場合、組織ごと衰退してしまう危機が出てくるのです。

それを回避するためにはそれぞれの組織のリーダーに、必要な知見を持った人材を配置し、組織内でさらに階層を設ける必要があります。また指示がなくても自主的に仕事を行うような従業員を育てるような人材育成を行うようにしましょう。その際、社内で人材が見つからない場合は、マネジメント人材を採用することも視野に入れましょう。

第3段階 委譲による成長(100~300人規模)

従業員が100人を超えてくると、組織の数も初期に比べ格段に増えています。この規模になると、リーダーである経営者の指揮だけでは仕事のスピードなどに支障が出てくる可能性があります。そこでリーダーは組織を任せている別のリーダーへ必要に応じて権限を委譲していき、組織自体が独立するような経営が求められるようになります。

ここで訪れる課題は「コントロールの危機」です。
この規模ぐらいの企業から、中間管理職が増え、部下の業務の責任も生まれてきます。そうなると自分の上司からの指示と、部下からの不満の板挟みにあい頭を抱えることになります。また権限を委譲することにより業務分担によって行われる仕事も増えるため、組織ごとの緻密なコミュニケーションが必要になってきます。この際に組織を束ねているリーダーが正しく指揮をとってコントロールを行う必要があります。そのため、人材育成では上司と部下のコミュニケーションの取り方などを強化していくのがよいでしょう。

第4段階 調整による成長(300~1000人規模)

この段階になると、それぞれの組織内で解決することが増えますが、他部署との関係が希薄になり独自ルールで動くようになりがちです。そうすると部署独自の無駄な作業などが増えてきたりします。ここで縦のつながりだけではなく、他部署と横のつながりを設けることにより、今まで気が付かなかった部分に気が付いたり、より良い部署にしようという意識がうまれ、組織全体の調整を行うようになります。

ここで訪れる課題は「形式主義の危機」です。
この規模になると、組織は官僚制になってきて、組織の階級制や権限のヒエラルキーが明確になってきます。しかし、その分、経営陣の意思決定のスピードが企業の成長速度に影響をあたえるのです。そこで第4段階目までは会社内で公式的手続きが重要視されていましたが、次のステップに進むためには今一度協働のための従業員の自主性やチームの縮小が求められてくるのです。ここで人材育成に求められることは、セルフコントロールや自主的に仕事に取り組むような従業員一人一人への教育が求められます。

第5段階 協働による成長(1,000人以上規模)

従業員一人一人が自主性を持って協働することによって、企業が一丸となりみんなで経営に参加していくというスタイルが作り上げられます。しかし、逆に言えば一つの完成形に近い状態となり、心理的飽和が発生して物足りなさを感じるような状況が生まれやすい環境でもあります。その際に優秀な人材が離れてしまったり、「新たな危機」が生じてくる可能性があります。

どの段階においても常に起こりえる危機に備え対応を行い、乗り越えるという流れを繰り返すことによって、企業は成長することができるのです。

人材育成のために部下の理想の成長モデルを把握しよう

さまざまな段階で、今後の成長のために求められる企業の成長モデルが理解できたかと思いますが、従業員に視点を合わせると、やはりどんな時でもモチベーションを維持し、向上心ややりがいを持って積極的に仕事できるような人材の育成が求められると思います。

しかし、危機に直面した時など、トラブルが発生しる場合、どうしても目の前の業務に集中してしまい。部下まで配慮が出来ない場合があります。
では、常日頃から部下の状況を把握するためには、どのようなことから始めればよいのでしょうか。

①目標や成果の見える化
自分の理想に近づくためにはまずどのような目標を立てるのか、その目標を達成するためにはどのようなことをしたらよいのか、具体的に見える化することにより、状況が整理され、イメージがしやすくなります。

また現状の成果も見える化することにより、成果が出ている部下はもっと頑張ろうというモチベーションにもつながります。もし成果が伸び悩んでいる場合も、何が原因なのかが見える化されているので早期解決につなげることが出来ます。

②部下と定期的に1on1ミーティングを設ける
定期的に部下と1on1ミーティングを設けることにより、コミュニケーションを取る機会を作ることが出来ます。リモートワーク等で顔を合わせる機会が少なくなった今、部下が質問しにくい環境が発生しやすくなっています。そうなると仕事のことで悩んでいても相談する相手がおらず、成果が伸び悩んだまま最悪離職につながる場合もあります。思い描く成長モデルに少しでも近づくためにはどうすればよいのか、相談できる環境作りの一つとして定期的に機会を設けるようにしてみましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

これからも会社を大きく育てていくためには、人材育成を正しく行う必要があります。そのためにまずは「成長モデル」とはどのようなものなのか、イメージが出来たと思います。

また、企業が現状どの成長段階にあるのか企業成長モデルで認識すると同時に、必要な人材育成がどのようなものなのかを把握できたかと思います。

第1段階 創造性による成長(3~50人規模)
第2段階 指揮による成長(50~100人規模)
第3段階 委譲による成長(100~300人規模)
第4段階 調整による成長(300~1000人規模)
第5段階 協働による成長(1,000人以上規模)

しかし、どのような段階であっても、従業員がどのような人材になりたいのか、成長モデルが描けていない場合、目標が見えずモチベーションが上がらないという状況が発生する場合があります。そのため、部下が成長モデルをイメージし、今後やりがいを持って仕事をするためにもまずは次のようなことから始めてみましょう。

①目標や成果の見える化
②部下と定期的に1on1ミーティングを設ける

従業員が自分のなりたい成長モデルを描き、その目標に向かって日々邁進するためにも、まずは会社側から働きかけてみてはいかがでしょうか。

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