人財育成の仕組みづくり

人材育成の目的の大切さとは?研修やeラーニングが活用されない理由

社内人材の育成方法を検討する際、ついつい、研修やeラーニングの環境を用意すればなんとかなると考えがちです。人材育成担当者は環境を用意することでひと安心ではありますが、なかなか社員の方々が研修やeラーニングを受講してくれないということが多くありませんか?このようなとき、なぜ研修やeラーニングを受けてくれないのだろう?と考えることが多いと思います。その理由は人材育成の目的が不明確だからではないでしょうか?本記事では、人材育成の目的の大切さについて考えていきます。


なぜ研修やeラーニングが活用されないのか?

ある企業の人材育成担当者からこのような話をきいたことがあります。「研修の受講率があまり良くないので、受講率を確認して、毎月部門単位で部長にプッシュしているんです。『そちらの部署は受講率があまり高くないですよ。メンバーにもっと働きかけてください。』いつも言っているのですが、一向に改善される様子がありません。受講率を上げる何か良い方法はありませんか?」。この企業さんは、年間で社員教育の予算を確保していて、一人あたり2〜3件、研修を自分で選択して受講する仕組みになっています。どうやら人材育成担当者としては、予算の消化具合が気になるようです。

他の企業の部長さんからの相談では、「うちの部門の研修とeラーニングの受講率が悪くて、どうしたらみんな受けてくれるのだろう。何かもっと良い研修ない?」と相談されたことがあります。研修やeラーニングが受講されないのは、コンテンツが良くないと感じているようです。

また他の企業では、「仕事をしていると、メールで『eラーニング未受講の方は月末までに完了させておいてください。』というメールがよく来ますよね。いま忙しくて、それどころではないんだけど・・・これって本当に面倒くさいですよね。」と立ち話で聞いたことがあります。

どの話も、研修やeラーングが面倒なものであり、イヤイヤ受講させられている様子です。なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?


人材育成の目的を明確にする

それは、研修やeラーニングの目的が明確になっていないからです。研修やeラーニングは本来個人の能力を向上させて仕事の成果を高めるために存在するものです。社員の方々は、自分が求めていない能力向上のために研修やeラーニングを受講させられているという感覚になっているのではないでしょうか。研修やeラーニングへ自己の目的がないということなのです。そもそも、多くの企業では会社の視点で研修やeラーニング環境を用意していますので、そこに受講者本人の動機が考慮されていないケースが多いのも事実です。ですので、本人の目的がそこにないということは普通のことなのです。それでは、そもそも研修やeラーニングがどのような目的の中で企業内に導入されたのかを考えてみましょう。

会社は一人ひとりの能力を向上させることで、仕事の質を高め、顧客のニーズに応えられる人材が増えていくだろうと考え教育環境を用意しています。もちろん、社員へのアンケートの結果、教育環境を充実して欲しいという声にも応えていると思います。

一方で、環境を用意しておけば、社員がそれを使って成長してくれるだろうと考え、環境を用意することが目的になっていることもあると思います。背景として、研修やeラーニングのサービスも進化しているからです。カフェテリア方式など、一定の金額で社員が自由に学習できるコンテンツや環境を簡単に用意できるような時代になっています。そのため、以前に比べ学習環境にはかなり恵まれた状態になっています。簡単に導入できるがゆえに、とりあえず社内に展開しておこう。という選択も増えているのも現状です。

それでも、人材育成の目的として考えたとき、環境を用意することが目的ではなく、「一人ひとりの能力を向上させることで、仕事の質を高め、顧客のニーズに応えられる人材が増やす」という目的のほうが企業で行う人材育成の本質ではないでしょうか。この本質的な目的に目を向けられることこそが、人材育成の目的について考える第一歩だと考えます。


人材育成の目的はそれぞれの立場で明確にする

では、人材育成の本質的な目的を考えるとき、どのような点に注意して考えたら良いでしょう。会社としては、先にも述べた通り、「会社は一人ひとりの能力を向上させることで、仕事の質を高め、顧客のニーズに応えられる人材が増やす」ということにありますので、会社として教育にコストをかけるということは、その結果、売上を伸ばしたいとうことが根底にあります。

会社の方針として教育環境が用意されるだけ、素晴らしいことです。この環境を有効に活用するため、上位概念の会社の目的のもと、人材育成に関わる関係者の方々それぞれの立場で考えてみましょう。

人材育成担当者の立場としては、「社内教育環境を有効に活用してもらうことを推進する」ことだと思います。会社が用意した環境、または人材育成担当立案の環境、社内で運用する人材育成に関することは様々ですが、人材育成担当者としての役割を遂行することが目的になります。

部門の責任者は、「社内教育環境を活用して、メンバーの能力向上をはかり、組織としての成果を高めたい」ということになると思います。会社や人材育成担当が用意した環境を活用してメンバーの能力を向上させることができれば、組織としての成果を高められます。

教育サポート担当者は、「担当しているメンバーの能力向上を、本人が成長しやすいようにサポートすること」です。部門としての成果を高められるように、個人をサポートする役割としてのミッションになります。

本人については、「能力を向上させて仕事の成果を高めて評価されること」場合によっては、これ以上学習してレベルアップしないで、今のスキルで続けたいという社員の方もいるかと思います。それでも、本人の意思のもと、能力を向上させたい、知識を得たい、といった学習意欲が本人の目的になります。組織で仕事をしている環境では、個人だけの思いだけでは進めにくいところであります。目標管理等の評価に関する活動や、タスク管理などの行動マネージメントに、うまく本人の目的を埋め込むことができると、より効果的な運用につながるかと思います。

それぞれの立場でそれぞれの目的が存在します。

これらの目的を明確にして、それぞれの立場の方が相互に理解した場合、必要な研修やeラーニングが受講されるようになるということです。


まとめ

今は教育環境に恵まれている時代です。手段としての選択肢はたくさんあります。このような環境だからこそ、真の目的を忘れてしまうことも発生しがちです。選択肢が多く自由に受講できる環境は素晴らしいことではありますが、目的に沿った活用ができるようになると、さらに効果が発揮される環境だと思います。いまいちど、人材育成の目的について目を向けて深く掘り下げることをお勧めします。

3つのポイント
・人材育成としての目的は会社としての上位の目的がある
・人材育成に関わるそれぞれの立場で考える必要がある
・目的に合った方式を人材育成に選択する

これらを明確して必要な手段として研修やeラーニング位置付ければ、社内に活用される環境が構築できるようになるということです。

さらには、研修やeラーニングも活用されることの先に、目的を明確にするからこその要素として、社内に自発性も生まれ、受け身ややらされ感から、積極的な成長アクションへつながることが生まれてきます。こちらのほうがさらに大きな成果につながる要素となります。

このように、研修やeラーニングに関する目的を考えるだけでも、目的の大切さがよく分かると思います。人材育成の目的そのものについても同様に考えていくことは、社員の成長促進には必要不可欠なことなのです。

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