人財育成の仕組みづくり

グローバル人材を育成するために押さえておきたいポイント

事業を、そして企業をより大きくするという目標を掲げた際に、日本国内だけではなく海外に視野を広げるようになると思います。企業が海外に進出をする場合、どのような人材が必要になるのでしょうか。英語ができる、海外で仕事をした経験がある、などいくつか条件が思いつくと思いますが、実際に求められるグローバル人材の人材育成ではどのようなことにポイントを置くべきなのでしょうか。今回は企業がグローバル人材を育成するために押さえておきたいポイントについて解説していきます。

グローバル人材とは?

グローバルに仕事をするためにはどのような条件が必要なのだろうか?と考えたとき、ビジネスレベルの英語力がある人を育てればいいから語学の研修を育成カリキュラムに取り入れて語学力を伸ばすことに力を入れることを多くの企業が考えると思います。
実際日本の求人でも基準としてTOEICの点数を一つの目安にしているものが多数存在しています。

しかし、海外で仕事をした経験のある人を採用した企業の話を聞いた際に「海外とやり取りをする際にはすごく助かっているけど、知らないうちに独断で話を進めてしまって事後報告だった時があって調整が大変だった。」という経験談を聞きました。
詳しく話を聞いてみると、普段から報連相といった連携が他の社員ととれておらず、語学力以外のスキルが不足していることによる予定外のコストが発生していて困っているようでした。

本来語学力は相手とコミュニケーションをとる手段として必要な力のひとつにすぎないのですが、ついつい一つのスキルを伸ばすことに目が行きがちです。

では、語学だけではない、仕事で活躍できるグローバル人材を育成するためには、どのようなスキルを磨けばよいのでしょうか。

グローバル人材育成ポイント① グローバル人材に必要な3つのスキル

まずはグローバルに活躍する人材に必要なスキルを、3つに分けて紹介したいと思います。

1つ目は【適応能力】です。

仕事をする際に他社や海外の文化など相手の文化を理解して柔軟に対応する「異文化理解」、そして必要に応じて新しいネットワークを構築する「ネットワーク構築力」が求められます。

以前ある海外営業担当さんと話していた時に「日本ほど時間に正確な国は少ないから、その国の文化に合わせながらスケジュールを組めるようになって、時間の使い方がうまくなりました!」という話を聞きました。

こちらの要求を一方的に伝えているだけでは相手の希望をくみ取ることができず、一工夫で解決できたことに気が付けない場合があります。そのため、相手の文化や意見も取り入れたうえで良好な関係を築けるように工夫をしてみましょう。

2つ目は【コミュニケーション力】です。

冒頭で話題にあがった「語学力」はここに含まれます。
そこに自分の考えを聞き手に理解してもらえるように説明する能力である「理論的思考力」、聞き手の行動や心理を自分の意図した方向に変更できる「プレゼンテーション力」が求められます。
相手の話をよく聞き、意図をくみ取り、要求に沿った提案ができることも大切なことですが、相手に合わせすぎて望んだものと大幅に異なる結果になってしまうのは、会社としても望んだ結果にはなりません。そのため、いかに相手を引き込むか、という力も求められます。

提案を行う際、まずは自分の中でまず理解をし、そのうえで相手のメリットにつなげられることを正確に伝えられるように意識をしてみましょう。

3つ目は【ビジネススキル】です。

これはグローバル人材に限らず、仕事を行う上で身に着けてほしいスキルも含まれてきます。
プロジェクトを進めていくうえでPDCAサイクルを確実に回す「運営管理力」、問題の本質を見極め解決まで導く「問題解決力」。
商品やサービスが選ばれ続けるために必要な「マーケティング力」、企業の決算書をもとに会社の経営を分析する「財務力」。
そして海外と取引するうえで商品の輸送行程において生じる問題を解決し物流をマネジメントする「貿易実務」が対象となってきます。

【適応能力】と【コミュニケーション力】はグローバルに特化した訓練や経験が必要となりますが、【ビジネススキル】は国内外問わずプロジェクトを進めていくうえで磨くことができます。
プロジェクトを進める際に意識をすることによって成長につなげられると思います。少しずつでかまわないので、はじめてみましょう。

グローバル人材育成ポイント② スキルを掛け算しよう

ポイント①で紹介した3つのスキルですが、ひとつに特化して伸ばせば問題ないのでは?と考える方もいるのではないでしょうか。

しかし、このスキルは面白いことに掛け算のように相乗効果があり、ひとつのスキルが不足しているとたちまちすべてのスキルが効果を失ってしまいます。

ある企業の方から聞いた話では「よく提案をしに来てくれる営業さんがいるんだけど、とにかく新しい商品を片っ端から提案してくるんだ。情報が知れることはうれしいし、悪い人じゃないんだけどね。」という話を聞きました。この場合、【適応能力】はないわけではないが、圧倒的に【コミュニケーション力】や【ビジネススキル】がなくマイナスの印象を与えてしまっています。
またこの話には続きがあり「新人さんで提案回数は少ないんだけど、こちらの話をよく聞いてくれて痒い所に手が届くような提案をしてくれる営業さんがいるんだよね。わからないことは次回までに調べてきてくれるから、何か欲しいことがあるとつい彼に相談してしまうんだよね。」と別の営業担当の方のお話も出てきました。この方はまさにこの企業と良好な関係を築く【適応能力】、ほしい情報を提供する【コミュニケーション力】、この企業の問題を理解する上での【ビジネススキル】を兼ね備えており、相手に好印象を与えると同時に相乗効果で次の提案にもつながっています。

ひとつずば抜けてできるスキルがあればカバーできると考えがちですが、できないスキルが相手にマイナスな印象を与えた場合足を引っ張る要因となってしまいます。
逆にそれぞれのスキルがそんなに高くなくてもマイナスポイントがなければ、相乗効果をもたらしプラスに働きます。

これがスキルの掛け算です。
グローバル人材を育成する際は、相乗効果をもたらす、3つのスキルの掛け算も意識してみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

これからグローバルに活躍できる人材を育てるために、まずは語学力の研修を人材育成計画に取り入れようと考える企業が多いかと思います。語学力は点数化しやすいこともあり一番判断しやすい基準になりがちです。

しかし、本来語学力は相手とコミュニケーションをとる手段として必要な力のひとつで、活躍できるグローバル人材を育てるためには3つの重要なスキルがあります。

・適応能力
・コミュニケーション力
・ビジネススキル

この3つのスキルのうち【適応能力】と【コミュニケーション力】は「異文化にどう対応するか」というグローバルに特化した訓練・経験が必要となりますが、【ビジネススキル】は今取り組んでいるプロジェクトからも意識することで磨くことができます。

またこの3つのスキルは掛け算のように相乗効果があり、ひとつのスキルが不足しているとたちまちすべてのスキルが効果を失ってしまいます。

このようにグローバルに活躍する人材を育てるために必要なスキルを明確化することによって、それぞれの今後の課題に気が付くことができます。3つのスキルをすべて底上げしていくことによって、相乗効果が生まれ取引先との関係も良好に発展し、ゆくゆくは会社の成長につなげることができます。ぜひ取り組んでみてください。

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