タレントマネジメント

タレントマネジメントを用いた業務効率化

現代、多くの企業で業務効率化が叫ばれています。働き方改革、労働力不足、競合他社との競争激化、混迷を極める世界情勢、悪化する景気など様々な環境や時代の変化に伴い、より業務において効率の良さを追及する企業が増えているのです。しかし、業務効率化の意味が理解できておらず、どのようなことを行えばいいのか悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

今回はタレントマネジメントと業務効率化について例を用いながらご紹介します。

タレントマネジメントと業務効率化

そもそも業務効率化とは何なのでしょうか。

業務効率化とは、業務の中にある無駄・無理・ムラを見つけ、なくしていくことにより、非効率な業務を改善していくことです。しかし、無駄などが何なのか根本的なところがあいまいになっており、気が付くことが出来ないという人もいるのではないでしょうか。

まずは、それぞれどのような状態なのかを見てみましょう。
・無駄:業務の負荷が能力を下回っている状態
・無理:業務の負荷が能力を上回っている状態
・ムラ:無駄、無理が混在しており、時に無駄な状態になり、時に無理な状態になり、業務が安定しない状態

例えば、営業で著しい結果を出せる能力を持っているトップセールスの社員が、割と多くの人ができる郵送業務を行うというのは、業務の負荷が能力を下回っている状態ととらえると無駄な状態といえるかもしれません。

また、もしかすると、実はこまごまとした作業がとても苦手で、郵送業務に時間がかかっている場合は、郵送業務の負荷がトップセールスの社員の事務作業能力を上回っており、無理をしている状態と言えるかもしれません。

他にも、月末月初に請求業務が集中することを考えると、無駄の要素も、無理の要素も重なり、その期間だけとても忙しいという状況に陥り、ムラのある状態と言えるかもしれません。
どの場合でも、無駄、無理、ムラを取り除き、より生産性を向上させていく必要があることがわかるかと思います。

業務効率化の際に、よく採用されるのがITツールの導入です。
請求書などの紙媒体の書類を、Web請求書システム等を導入し、電子化することで、印刷したり、郵送したりする手間という無駄、無理を削減する効果があります。

先ほどの、営業で著しい結果を出せる能力を持っているトップセールスの社員の場合、ITツールを導入することにより、割と多くの人ができる郵送業務を行うという無駄をなくせて営業活動に集中することが出来ます。

あるいは実はこまごまとした作業がとても苦手で、郵送業務に時間がかかっている場合、郵送業務から解放されて営業活動に集中することが出来ます。また、営業活動に集中できることで、これまでと同じ時間働いていても、売り上げをさらに伸ばすことが出来るのです。このように、無駄、無理、ムラをなくしていくことが、作業効率化で、その結果、生産性向上が得られるのです。

そのほかのITツールの導入の事例として、とある企業では、オフィス以外からも社内システムにアクセスできるようなクラウドシステムやVPNを導入したことにより、場所に囚われず仕事ができるようになり、移動という無駄を削減することが出来ました。このように、無理、無駄、ムラの削減をしていくことで、結果的に生産性が向上すれば、業務効率化は成功と言えるのです。

こうした無駄、無理、ムラを見つけて、業務効率化に取り組んで行く際に、従業員情報がとても役に立ちます。
一人ひとりがどんな業務をしているのか、どんな成果を上げているのか、どういうことを感じて業務に取り組んでいるのかといった情報があれば、業務が能力を上回っているのか、下回っているのか、判断しやすくなります。

そこで出てくるのが、従業員情報を見える化しているタレントマネジメントです。

タレントマネジメントは「企業が掲げている経営目標を達成するための人事施策を戦略的に考え、従来の人材マネジメントを変えることで企業や組織の生産性を高めることを狙いとした手法」と言われています。
「従来の○○を変えて、生産性を高めることを狙いとした手法」これは業務効率化を意味します。

人事施策を戦略的に考えることで、業務効率化を行えるのがタレントマネジメントなのです。

タレントマネジメントによる業務効率化の例

では、具体的にタレントマネジメントはどのように業務効率化に寄与するのでしょうか。いくつかの例をご紹介します。

例えば、「売り上げをもっと増やしたい!」と漠然と考えている企業があるとします。皆様がその企業の人事なら、どうしますか?

「営業の数を増やすべくたくさんの営業を採用しよう!」
「営業の質を高めるために、営業研修や製品の研修を行うか?」
「提案の訴求力を高めるために、プレゼンテーション研修の実施が不可欠だ!!」
「製品のことをよくわかっている開発部のメンバーを営業に配置転換したほうが良いかもしれない…」

さまざまなアプローチが浮かんでくるかと思います。
思いついたアプローチの中で、効果的なものはどれか、どれを行えば売上をもっと増やすという企業目標を達成できるのか……、それを見極めるための指針が、タレントマネジメントという人事戦略です。

もし、現状、営業メンバー全員がハイパフォーマンスを発揮しているとしたら、更なる売り上げの増加を求めるのは、営業組織の能力を上回った業務を課すことになるため、無理の状態になってしまいます。このような無理をなくしていくために取れる施策が、業務改善です。

例えば、営業メンバーに営業事務をつける人材配置を行い、営業メンバーの業務を減らすことができれば、営業組織の能力に余力が出るので、売り上げをもっと増やす業務を課すことができる。これで売り上げが上がれば、業務効率化になります。

ここで重要なことは、やみくもに営業事務をつけたわけではないということです。きちんと従業員情報を把握し、無理をみつけ、無理をなくすための人事施策を戦略的に打ったのです。これがタレントマネジメントによる業務効率化です。

従業員情報を把握し、分析を行うと、同じケースでも違う行動になる場合もあります。

例にあげた「売り上げをもっと増やしたい!」と漠然と考えている企業において、営業メンバーが実は新規リードを獲得することには長けていて、提案プレゼンやクロージングの際に持て余してしまうようなケースが多い場合はどうでしょう。これは無駄の状態といえます。

もっと提案プレゼンやクロージングの能力があるのに正しいやり方を知らなかったとしたら、能力に対して業務の負荷が下回っている状況といえます。その場合、正しいやり方を知ってもらい、提案プレゼンやクロージングもしっかり行ってもらうことが必要です。そうすると、プレゼンテーション研修の実施が業務効率化につながる場合があります。

また、提案プレゼンやクロージングの正しいやり方を知っていても、上手く実施できず持て余している場合は、提案プレゼンやクロージングにかけている時間は無駄、あるいは提案プレゼンやクロージングに対して無理の状態とも考えられます。その場合、提案プレゼンやクロージングは他部署から適任者を異動させたり、新しく採用したりして、他の人に任せて、そのあいた時間分をリード獲得にあててもらうほうが業務効率化につながるかもしれません。

このように、無駄、無理、ムラを見つけるには、正確な従業員情報が必要といえるのです。
正確な従業員情報をもとに、無駄、無理、ムラを見つけ、戦略的に人事施策を行うことで、タレントマネジメントは業務効率化につながっていくのです。

まとめ

さまざまな状況の変化に伴い企業への導入が増えている、タレントマネジメント。

タレントマネジメントを利用し、業務効率化を進めるために、まずは無駄、無理、ムラがどのような状態なのかを理解することが重要です。

・無駄:業務の負荷が能力を下回っている状態
・無理:業務の負荷が能力を上回っている状態
・ムラ:無駄、無理が混在しており、時に無駄な状態になり、時に無理な状態になり、業務が安定しない状態

タレントマネジメントを用いて、企業の現状を分析し、どれかに当てはまる場合は、戦略的に人事施策をうつことで、業務改善を行うこともできるのです。

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