それぞれの企業が掲げる目標を達成するためには、従業員がそれぞれ自分の役割を把握し目標をもって日々の仕事に取り組むことが大切です。また目標を達成するために前向きに仕事に取り組むためには、モチベーションの維持が不可欠です。
しかし、従業員ひとりひとりの状況を逐一把握し、モチベーションを保つことは容易なことではありません。そこで重要になってくるのが上長評価です。では、どのような環境作りをすることが望ましいのでしょうか。
今回はタレントマネジメントを活用した、上長評価の仕組みづくりについてみていきましょう。
タレントマネジメントを活用した上長評価の効果
先日とある企業の社長とお話をする機会がありました。
「うちの会社でもリモートワークの導入により在宅で作業をする人が増えたのですが、正直見えないことが多くて不安です。今後会社も人材を増やして成長させたいと思ったときに、今までの人材管理方法や評価制度を見直したいなと考え、タレントマネジメントに興味を持ちました。でも、つい他の業務を優先してしまい、後回しになりがちで……。」
コロナ禍により、仕事面でも様々な変化を余儀なくされました。リモートワークもその1つです。しかし、リモートワークの導入により今まで以上にコミュニケーションがとりにくくなりました。
自宅で一人仕事を行っていると、壁に直面した際にもすぐに相談する相手がおらず、悩みから抜けない状況に陥ってしまい、モチベーションの維持が難しく、最悪の場合、心が折れ離職に繋がってしまうという可能性も出てきてしまいます。
では、企業側ではどのような対策ができるのでしょうか。
そこであげられる方法の一つがタレントマネジメントの導入です。
タレントマネジメントとは、従業員のスキルや能力、今までの経験を見える化し、その情報を戦略的な人材配置や人材育成に最大限に活用するマネジメント手法です。
また、タレントマネジメントで見える化された情報を基に自己分析を行い、従業員それぞれにあった目標を立てることもできます。しかし、自分でたてた目標に向かって前向きに取り組んでいても、先ほどもお伝えした通り、壁に直面して悩んだ際に、そのままモチベーションの維持が出来なくなってしまうこともあります。
そこで重要になってくるのが上長評価です。
定期的に上長とミーティングを行って業務に関する話などコミュニケーションを取る時間を設け、適宜フィードバックをもらうことにより、従業員は悩んでいた問題に対して気が付かなかった解決方法を得て、無事プロジェクトが成功する場合もあります。また、プロジェクト終了後も振り返りを行い、反省点や今後の課題、上長評価をもらうことにより、次の仕事に対するモチベーションの向上にもつながります。
タレントマネジメントを活用した上長評価の基準
タレントマネジメントを活用して上長評価を行う際、適切に評価するための基準がいくつかあります。
必要な評価項目の見える化を行うことにより、部下も上長はどういうところを見て判断しているのかという事を念頭に置きながら仕事ができるようになります。
- 成果に対する評価
こちらは一番わかりやすい指標の評価になっており、今後重要視されていくと考えられています。
タレントマネジメントを活用して、業務において、どれくらい利益が上げられたのか、業務のスピード感は適正だったのか、提供したもののクオリティはどのようなものだったのかなどを見える化することにより、平等な上長評価を行うことが出来ます。
なお、その際に注意しなければいけないのが、災害などの外部要因による影響などは適切に考慮しなければなりません。
- 能力に対する評価
こちらは与えられた業務を的確にこなしていくために求められる能力の評価で、主に資格や知識を指します。
業務をこなしていくために必要な知識や技術を研修や実技で身に着けているか、新しいプロジェクトを立ち上げる企画力はあるか、プロジェクトを進めていくうちにトラブルが発生した時に対応する問題解決力はあるかなどが該当します。
タレントマネジメントを活用して、業務を遂行していく上でどのような実績を上げてきたのか見える化して上長評価を行うことにより、常に最新の評価を確認できると同時に、今後の人材配置にも活用することが出来ます。
- 情意に対する評価
最後の項目は、与えられた業務に対する取り組む姿勢や、会社の目標に沿った行動がとれているかどうかを指します。業務を遂行していく上での責任感や、他のプロジェクトメンバーと一緒に業務をこなす協調性、自ら業務を進んで行う積極性などがこの項目に該当します。
今までの2つの項目と比べ、上長評価の際に主観が入りやすく、基準もあいまいになってしまいやすい項目でもあります。そのため、上長は日頃から部下とできる限りコミュニケーションをとりながらよく観察をし、好ましい姿勢や行動を日ごろから記録しておき、事実ベースでフィードバックできるような流れや機会を作っておく必要があります。そうすることにより、部下も報告しやすい環境が作れますし、タレントマネジメントが適切に活用されていれば、部下の日頃の行動なども見える化され、評価基準も示しやすくなります。
タレントマネジメントを活用して上長評価を行ってみよう
「上長評価が従業員にとって大切という事はわかっているだけに、評価がしにくくなった気もします。以前なら隙間時間にたわいもない話が出来て、従業員の感情や見えない想いも汲み取ることが出来ました。今もなるべくミーティングを定期的に開催していますが、どうしても業務報告とそれに対するフィードバックがメインになっているので、以前と同じような評価がしにくくなっています。」
今までは上長が目に見えない自分の働きを汲み取って評価してくれることに対し、部下も自分のことを理解してくれていてうれしいという気持ちから信頼が増えるという好循環が生まれていました。
しかしリモートワークの導入により、今まで汲み取れていた目に見えない部分を上長が自主的に観察して汲み取って評価することが難しくなり、部下も自分のことを理解してもらえない状況で上長評価を受けると、本当に正しい評価を受けているのか素直にとらえることが出来なくなってしまいます。
それでは実際に上長評価を行う際にどのようなことに注目して行えばよいのでしょうか。
- 職務遂行を基準にした論理的な評価をする
1つ目に重要なことは個人の感覚には左右されない、職務遂行を基準にした理論的な評価であることです。
企業側で評価基準をしっかり設けていても、項目は上長評価の内容に納得がいかない場合、部下は不満を感じ、モチベーションの低下につながります。
個人が掲げている目標と会社が求めている基準が一致していない場合、評価にも影響が出てきてしまうため、タレントマネジメントを活用し部下が目指すべき目標を見える化し、上長評価の基準も職務遂行を基準にしたものにしましょう。
- 目に見えない功績を見える化して評価をする
業務に対して目に見えない頑張りや働きを行った際に、上長に評価された方が部下はうれしいと思うと同時に次はもっと頑張ろうとモチベーションが高くなります。
しかし、上長評価の基準があいまいのまま評価された場合、思っていた評価と違って落ち込んでしまう場合もあります。そんな状況を防ぐためにも、目に見えない功績を評価する際には、必ず「見える化」する必要があります。
タレントマネジメントツールなどを活用し、評価できる仕組みづくりをすることにより、部下も納得して上長評価を受け入れられるようになります。
上記からわかることは、上長が評価を行う際に、いかに部下と認識が一致しているかというところがポイントになってきます。そのためにもまずはタレントマネジメントを活用しながら評価基準を見える化し、公平な上長評価をするよう心がけましょう。
まとめ
いかがでしたか?
リモートワークなど直接顔を合わす機会が減ってきている中で、情報の見える化が重要視され、注目を浴びている「タレントマネジメント」。
タレントマネジメントを活用して従業員の仕事状況を見える化し、合わせて上長評価の基準も見える化することにより、評価される側の部下とも認識のずれを減らすことが出来、受け入れやすい状況を作ることが出来ます。
では上長評価をする際にどのような項目を基準にしたらよいのでしょうか。
今回は大きく分けて3つの項目を紹介しました。
- 成果に対する評価
- 能力に対する評価
- 情意に対する評価
また上長評価を実際に行う際には主観的な基準であいまいな評価を行うのではなく、公正な評価を行う方が、部下の納得感も生まれます。
- 職務遂行を基準にした論理的な評価をする
- 目に見えない功績を見える化して評価をする
このようにタレントマネジメントを活用し、評価基準の見える化を行うことによって、上長評価の人による差もなくなり部下も次の業務に向かって前向きに取り組めるようになります。
部下のモチベーションを向上させるためにも、タレントマネジメントを活用した上長評価を行ってみてはいかがでしょうか。
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