注目されている「タレントマネジメント」を導入する目的とは?

日本の企業といえば「一つの会社に長く勤めれば、徐々に年収も上がり、定年まで勤めあげる」という終身雇用制や年功序列のイメージが強く、あまり人材の流動性は高くありませんでした。しかし、時代の変化に伴い、企業と従業員の関係にも変化が現れ、従来のマネジメントシステムが適さなくなってきています。

今回は変化に伴い注目を浴びている「タレントマネジメント」がどういうものなのか、導入する際に気を付けておきたいポイントとともに紹介していきます。

タレントマネジメントとは?

今までは従業員をどう会社に合わせるかという点に重きを置いてマネジメントを行っていた企業が多かったと思いますが、時代の変化に伴い人材をどう生かすかということが注目されています。

では「タレントマネジメント」とはどのようなものなのでしょうか。

タレントとは従業員を意味しており、元々は人材の流動性が激しいアメリカで、優秀な人材を定着させるために提唱されていました。某CMでは「適材適所」なんて言葉が活用されていますが、戦略的に人材配置を行い、育成していく人材戦略です。従業員が持っている適性やポテンシャル、強みやスキルといった情報を把握、管理し、採用・配置などの人事に生かし、従業員や組織、企業のパフォーマンスを最大限発揮できるようにマネジメントします。

「最近、私たちの会社にもタレントマネジメントを導入したいと考えているのですが、何から始めたらいいのか悩んでいます。」
近年、企業で働く従業員が、能力やスキルを発揮できるようにと、タレントマネジメントに注目が集まっており、実際に人事担当から相談をされることも増えました。

注目されるようになった背景として、大きく分けて4つの理由があります。
まず1つ目として、従来の日本の企業が取り入れていた終身雇用や年功序列など、長く企業に在籍する雇用制度が難しくなり、人材の流動性が上がったことです。
2つ目として、少子化が進み、今までできていた一括大量採用が行いづらくなりました。そのため、効果的な人員配置が必要になってきたことです。
3つ目は、高齢化が進み、社内の固有スキルを保有している人材が限られてきていることにより、属人化が問題になってきたことです。
4つ目は、事業のグローバル化に伴い、国内から世界へと競争の場を広げたことによる競争の激化から、人材の活用にスピード感が求められるようになったことです。

こうした理由から、かつて配属先の現場でじっくり時間をかけて育てていた日本式の人事戦略より、戦略的に人材を配置することで、人材を無駄なく、より早い戦力化を求めるような動きに変化してきています。このような変化から、タレントマネジメントや、タレントマネジメントツールに注目が集まってきているのです。

タレントマネジメントを導入する際の落とし穴「目的」

「企業のグローバル化にむけて、今後もっと会社を成長させるためにも、さっそくタレントマネジメントの導入を前向きに考えよう!」と行動に移す企業もあると思います。しかし、導入を検討する際に気をつけてほしいポイントがあります。

それは、タレントマネジメントの目的を明確にすることです。

導入の際によくある落とし穴として、タレントマネジメントを導入すること自体が目的化してしまうことがあります。例えば「適材適所を実現するためにタレントマネジメントを導入する」や「従業員一人ひとりをしっかり見た人事施策を行うためにタレントマネジメントを導入する」など、本来の目的見失っている企業も多く見てきました。
タレントマネジメントはあくまで人材戦略の一つであり、企業の目標を達成するための手段の一つに過ぎません。タレントマネジメントを導入し、うまく機能している企業は、目的をきちんと明確にしています。

ここで、すでにタレントマネジメントを導入する目的がわからなくなっている方もいるかもしれないので、改めて思い出しましょう。
タレントマネジメントの目的は、経営目標を達成するためです。経営目標を達成するために、計画的に人材活用する人材戦略として、タレントマネジメント導入するのです。

企業の経営目標によっては、適性やポテンシャルなどに着目するより、軍隊式に全員が同じことをできるように配属してから教育したほうが適している場合もあります。そのため、自社の経営目標を達成するためにはどのような制度が必要なのか、適性やポテンシャルに着目した人事戦略であるタレントマネジメントが本当に必要なのか、一度立ち止まって現状を見直すことが大切です。現状を把握した上で企業に適したマネジメントを導入しましょう。

タレントマネジメントの押さえておきたい4つの要素

「タレントマネジメントの導入を今後行っていきたいのですが、導入前にやっておいた方がよいことはありますか?」先日とある会社の人事担当の方とお話しした際に、このような質問をされました。

タレントマネジメントを導入するうえで欠かせないこととして、社内の従業員の適性やポテンシャル、強み、スキルといった情報を見える化をしておくことは大前提に挙げられます。見える化された従業員の情報を活用し、人事の様々な場面でタレントマネジメントの考え方を導入していくのが、通常の流れです。

ここでタレントマネジメントの導入するポイントを深めていただくために、代表的な4つの要素「採用」「育成」「配置」「評価」についてご紹介します。

採用

経営目標を達成するために、必要な適性やポテンシャル、強み、スキルは何かを明確にしましょう。またそういった要素を持っている人材は社内や組織、部署にいるか、足りているかという現状の把握も大切です。現状人材がいない場合、達成するための要素が足りていない場合に、採用で補う必要があります。

育成

経営目標を達成するために、必要な適性やポテンシャル、強み、スキルは何かを明確にしましょう。そしてポテンシャルや強み、スキルを伸ばすためには、どんな育成が必要かを人材育成計画に落とし込むようにしましょう。

配置

経営目標を達成するために、社内のどの組織、部署に、どんな適性やポテンシャル、強み、スキルが必要かを明確にしましょう。また社内の組織、部署に、そういった要素を持っている人材が足りているか、人材が必要な部署に配置されているかというところも今一度見直してみましょう。

評価

経営目標を達成するために、必要な適性やポテンシャル、強み、スキルの保有に対して、適切に従業員を評価できているかという点に注目して評価制度を改めて確認してみましょう。

このように、経営目標を達成するためには、人事における様々な場面で従業員の見える化した情報を活用することができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

少子高齢化による労働人口の低下やテクノロジーの急速な発展に伴い、現在注目されている【タレントマネジメント】。少数精鋭の人員の中で、企業のさらなる発展のためにも、戦略的に人材配置を行い、育成していく人材戦略が必要となっています。

しかし、タレントマネジメントが戦略上合わない企業も中には存在しています。誤ったマネジメントを導入しないためにも、まずは社内の従業員の現状を見える化をするようにしましょう。見える化をすることによって会社で強化すべきポイントが明確になり、企業のさらなる成長につなげていくことができます。

ファインドゲートでは社内の人材育成強化を検討する際に、考慮すべきポイントをまとめた入門資料「人材育成の目的の大切さに気づくためのガイドブック」~人材育成担当の気づきのヒントがここにある~ をご用意しました。本資料は、人材育成を強化したい方には必見の資料です。ぜひダウンロードいただき、ご覧ください。

お役立ち資料

関連記事

タレントマネジメントに不可欠な人材データベースのポイント

タレントマネジメントはDX推進の強い味方になるのか

タレントマネジメントを活用し従業員をアシスタンスするためには

タレントマネジメントを評価面談に活かそう

PAGE TOP