人財育成の仕組みづくり

人材育成に取り組めない会社や企業がおさえるべきポイント

人材育成は重要だ。
多くの会社や企業がそう考えていると思います。
しかし、現実問題、なかなか人材育成に取り組めない事情も多々あります。
今回は、人材育成に取り組みたいけれども様々な事情でなかなか取り組むことができない会社や企業のヒントとなる情報をお伝えいたします。

人材育成に対する会社や企業の取り組み状況

人材育成が重要だと世の中では声高に叫ばれていますが、実際のところ、どのくらいの会社や企業が人材育成に取り組めているのでしょうか?

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に行った調査(https://www.jil.go.jp/press/documents/20210205.pdf)によると、約3割の企業が現在、人材育成・能力開発の方針を定めていないそうです。
従業員規模が小さいほど、人材育成・能力開発の方針を定めていない企業が増えていますが、特に注目すべきデータは、以前の調査、2016年からの変化です。
2016年と比較すると、従業員規模に関わらず、人材育成・能力開発の方針を定めていない企業が増えているのです。
ここ数年で、多くの会社や企業が、人材育成に取り組めていない状況になったと言えます。

では、人材育成に取り組めない会社や企業の障壁となっていることはなんなのか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、「指導する人材が不足している」、「人材育成を行う時間が無い」、「育てがいのある人材が集まらない」、「人材を育成してもすぐ辞めてしまう」という回答が多く挙がっています。
弊社に寄せられるご相談でも、「現場に時間や余裕がない」、「予算が足りない」といった声が多く、なかなか人材育成に取り組めない現状を肌で感じます。

こうした障壁は、自社の事業や企業活動に注力しなければいけない状況にあるケースがほとんどです。
現在は先の見えないVUCA時代だといわれて久しいですが、会社や企業にとって、自社サービスの業績、いわゆる本業は、大きな影響を突如受けやすい状態にあります。
すると、
・本来指導すべき位置にいる人材が、現場でも主力のため、指導に回ることができない
・現場が人手不足で育成の時間を確保できず、採用に大きなしわ寄せが生じる
・人材育成にお金を回す余裕がなくなる
というような状況に陥りやすくなります。

会社や企業としては、自社の事業や企業活動への注力は重要度も緊急度も高いため、重要度は高くても緊急度は高くない人材育成は、後回しにせざるを得ないのかもしれません。

人材育成に取り組めない会社や企業がおさえるべきポイント

人材育成というと、研修やセミナー、勉強会といった、準備も時間もお金もかかるものというイメージが強くあります。
また、上司や先輩がついて手取り足取り指導していくイメージも浮かぶかもしれません。
こうした大変な取り組みを、人材育成に取り組めない会社や企業が行うのは、とても現実的ではないでしょう。

人材育成に取り組めない会社や企業に抑えておいてほしいポイントは、「負担が少ない小さな取り組みから始めること」です。
ビジネスにスモールスタートがあるように、人材育成にもスモールスタートがあるのです。

人材育成に取り組めない会社や企業におすすめの事例

人材育成のスモールスタートにも、様々なものがあります。
ここでは、人材育成に取り組めない会社や企業にもおすすめできる取り組み事例をいくつかご紹介します。

①上司やOJTトレーナーによる気にかけ

気にかけとは、直属の上司や、OJTトレーナー、メンターが、悩んでいる社員を気にかけ、アドバイスのメッセージを送る形の人材育成です。
会社や企業、部門によっては、上司がいなかったり、OJTやメンター制度を導入していなかったりすることもあります。しかしながら、チームや組織で仕事をしている限り、誰かしら仕事やプロジェクトをマネジメントする人がいると思います。

仕事やプロジェクトをマネジメントする人は、仕事やプロジェクトがうまくいくように、メンバーのアウトプットを目にすることが多いでしょう。
場合によっては、アウトプットにとどまらず、「調子よさそうだな」「元気ないな」などの様子を見ていることもあるかもしれません。
そんなときに、よりアウトプットの質が上がるような情報や、悩み解決のヒントとなるようなアドバイスが、人材育成になります。

ポイントは「強制しないこと」です。
あくまでアドバイスなので、実践するかどうか、さらにはアドバイスを見るかどうかも相手にゆだねる。
こちらも絶対に見ないといけない、やらないといけないという指導になる部分ではなく、「なんか助けられるかな」くらいの緩さで行うとうまくいきます。
アドバイスする側も、受ける側も、隙間時間にサクッと行えるというのがミソです。

②YouTubeなどの無料の教材を活用

昔は教材などのコンテンツは、お金を払うか、自分で頑張るかしなければ手に入りませんでしたが、今はYouTubeをはじめ、無料のコンテンツが簡単に手に入る時代になりました。
指導できる人材を確保しなくても、コンテンツが無料で、先生をやってくれるわけです。

ポイントは「現場やその人が業務の中で感じている内容に関連すること」か、もしくは「自社の今後に関連すること」です。
大変忙しい中、動画(あるいは記事)を見とけよ、といわれても、おそらく誰も見ません。
なので、明確にこの動画や記事が現場、自分に関連していること、自社の今後に関連することを示す必要があります。
特に前者は、自身が現在業務で感じていることなので、興味を持ちやすくなります。
ただ、教材として使える無料コンテンツは、質やジャンルがとても幅広く存在しているので、位置づけは「ヒント」にとどめておきましょう。

③セルフデベロップメント研修

セルフデベロップメント研修というのは、人材育成手法の一つである、SD (Self Development)の取り組み方を身に着けていく研修です。
一度、SDを身に着けてもらえれば、社員一人ひとりが自己啓発し、成長してくれる。
そういう発想です。

ポイントは「実務を通したSDを行うこと」。
自己啓発というと、仕事とは関係のないことを学んでしまったり、個人のやる気に依存してしまったりと、会社としてはコントロールしにくい一面があります。
セルフデベロップメント研修では、実務を通して自分で学ぶという手法と仕組みづくりを習得できるので、会社や企業として人材育成に取り組めなくても、社員一人ひとりが実務を通して自己研鑽してくれるという、ある種理想的な状況を作ることができるのです。

まとめ

いかがでしょうか。
どんなに切れ味のいい素晴らしい包丁でも、休むことなく切り続ければ、切れ味は落ち、刃こぼれしてしまうかもしれません。
切り続ける手を止め、刃を研ぐ時間があったほうが、常にいい切れ味で切り続けることができます。
同様に、とても優秀な社員がどんなにいい働きをしてくれていても、人材育成という刃を研ぐ時間が無ければ、スキルが陳腐化したり、自社の成長についていけなくなったりして良い働きができなくなるかもしれません。
人材育成は小さな取り組みもありますので、これまで自社を支えてきた優秀な社員が、良い働きをできなくなるという経営上致命的な状況に追い込まれる前に、ぜひ刃を研ぐ時間と労力を惜しまないでください。

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