人材育成で目標を考える理由~人材育成における目標の作り方や使い方をご紹介!

人材育成を適切に行い、優秀な社員を確保していくことはとても重要です。
日々、企業の経営陣や人事部門の方々は、自社の社員をどう人材育成していくか、どうやったら優秀な社員が育つかを考え、創意工夫されていますが、多くの企業が自社の人材育成に不安を抱えています。
そこで今回は、人材育成を適切に行うヒントとして、人材育成における目標の作り方や、使い方について紹介します。
人材育成における目標がきちんと作れており、うまく使うことができれば、人材育成に抱く漠然とした不安が霧のように晴れていくことがあります。
是非今後のヒントとして、最後までご覧ください。

なぜ人材育成で目標を考えるのか?

誰かが成長している、育っている、と感じるときはどんな時でしょうか?
例えば子どもの場合は、身長がわかりやすいかもしれません。
去年130㎝だった身長が、140㎝に伸びたら、わかりやすく成長したと感じるでしょう。

では、仕事の場合はどうでしょうか?
これまでできなかった業務ができるようになった時?
言われなくてもこちらの意図を汲み、作業に取り掛かれるようになった時?
あるいは昇進した時?
色々な場面が思い浮かぶかもしれません。
何をもって成長した、育ったというのを判断するのかは、イメージが湧かなかったり、思い浮かべた場面が人によってまちまちだったりすることが多々あります。
身長のように、わかりやすい数値があればいいのですが、仕事の場合、人の成長を数値化・見える化しづらいため、企業における人材育成が「誰かの感覚」で行われてしまっているケースが少なからずあるのです。

では、現在よく見かける「感覚で行われている人材育成」はどのように作られているでしょうか。
多くは、次のパターンで進みます。
① 現場や経営陣から「あれができていない」「これができていない」という声が挙がる
② 挙がってきた声を要望として受け止め、その内容をテーマにした研修を行う

ここで誤解してほしくないのは、このパターンが悪いわけではないということです。
①、②の手順を踏み、できていないことができるようになる、できていないことの知識を知ることができれば、社員は育成されているかもしれません。
ただ、このパターンばかりになると、どうしても対処療法的な側面が強くなり、人材育成が場当たり的になるという問題があります。
計画的な社員育成の実施は難しく、最悪の場合経営活動に支障をきたすかもしれません。

効果的な人材育成は、企業の経営戦略と密接に結びついています。
会社がどこに向かっていくのか、そこにたどり着くにはどんな人材が必要なのか。
企業の経営戦略に基づいて、必要な人材の標を立てていく。
これこそが人材育成における目標で、人材育成を効果的に行うためのポイントとなるのです。

人材育成における目標の作り方

では、人材育成における目標はどう作っていけばいいのか。
恐らく、人材育成を効果的に行うにあたり、最も難しく感じることの一つだと思います。
順を追って説明します。

①まずは企業の経営方針や事業活動の情報を把握する

まずは自社がこれから先どこを目指そうとしているのか、事業活動の状況はどういう状況にあるのかを把握しましょう。
企業の経営戦略と密接に結びつけておくためには欠かせない、重要なポイントです。

②どういう人材が必要なのか明確にする

次に、自社が目指す方向、目指す状況にたどり着くためには、どんな人材が必要なのかを明確にします。
この時、ポイントが2つあります。
1.現状は一旦考えない
この段階で現状を考えてしまうと、どうしても既存のリソースに引っ張られてしまいます。
なので、現状の人材は一度忘れて、企業が目指す経営の方向にたどり着くために必要な人材を考えることに集中しましょう。
2.タスクとスキルの両面から考える
タスクとは自社が目指す経営の方向にたどり着くために必要な業務、スキルとは、自社が目指す経営の方向にたどり着くために必要な能力、とここではします。
人材育成を考える際はスキルばかりに目が行きがちですが、職務遂行という観点から見ると、業務というタスクにも目を向けることは大切です。
何ができればいいのか(タスク)、タスク実行にはどんな能力や知識が必要か(スキル)。
これが明確になると、人の成長の見える化が行いやすくなります。

③現在自社にいる人材を把握する

どういう人材が必要なのか明確にできたら、次は現状を考えます。
自社にはどんな人材がいるのか、何ができて何ができていないのか、どんな能力や知識があってどういう能力や知識が不足しているのか…。
②の段階でタスクとスキルの整理ができていると、イエス・ノーでの回答や、数値等での判断がしやすくなるので、ここで重要なのはやはり②が終わってから現状を考えるということになります。

④②と③のGAPに注目する

どういう人材が必要なのか明確になり、現状がわかったら、今度はGAPに注目します。
さらに強化したいところ、足りないところ、弱いところ、不足しているところが見えてきたら、会社としてそこに注力すればいいのです。
足りない所、弱いところ、不足しているところは、採用で補うのか、既存の社員を育成・強化するのか、考え方はいろいろあるので、育成すべき部分をここで判断します。

⑤SMARTに考える

目標設定の際に必ずといっていいほどよく出てくる言葉に「SMARTの法則」というものがあります。
Specific = 具体的で、わかりやすく
Measurable = 計測可能、数字になっている
Achievable = 達成可能、現実的
R = (諸説あり)
Time-bound = 期限が明確
RはRelevent(関連した)であったり、Reallistic(現実的)であったり、Rewarding(やりがい)であったりと色々あります。
目標を立てる際に、「頑張る」というようなふわっとした設定にならないように、おさえるべきポイントの頭文字を取り、SMARTといっています。
ここでは、「経営戦略に関連していて、達成可能かつ計測可能な目標を、期限を定めて具体的な内容で記す」と考えてください。
効果的な人材育成の目標を設定するためには、SMARTの法則が不可欠になります。

人材育成における目標の使い方

企業の人材育成における目標でよくありがちなのが、目標を設定してそのまま放置、あるいは社内で公表して終わりになっているパターンです。
目標はあくまで目的に向かうための標ですので、設定しただけでは機能しません。
目標を使って効果的に人材育成を進め、経営戦略に寄与して初めて意味があるのです。
では、人材育成を効果的に進めるために、どのように目標を使うか。
・ 企業が設定した人材育成における目標から、各社員の今期の目標までブレイクダウン
・ 社員との面談の評価材料
等いろいろな使い方がありますが、ここでは最もわかりやすい使い方の一つ、研修企画の事例をご紹介します。

例えば、「3年後までに、市場価格、顧客価値、投資状況、販売計画等から製品・サービスの適正な価格を設定できる社員を100人に増やす」という目標があった場合、これを達成するために研修を企画するといいかもしれません。

適正な価格を設定できるためには、まず市場価格や顧客価値、投資状況、販売計画等が何なのか、それらをどう分析すればいいのかを知らなければならない。
目標達成のために必要な知識を知らない社員が多い場合は、知識習得のための研修を企画すると、目標達成に向け人材育成が効果的に進みます。

ここで気をつけてほしいのは、企画する研修が、どの人材育成における目標に紐づいており、どのレベルまで引き上げるものなのかを明確にしておくことです。
知識習得のための研修は、決して価格設定ができるとイコールではありません。
目標で設定した人物像がレベル100だとしたら、知識を持っている状態はレベル30、というように、研修を受けるとどの目標のどのレベルにまでいくのか、わかるように決めましょう。

まとめ

いかがでしょうか?
企業が人材育成における目標を設定する際は、経営戦略に基づいた設定をする必要があり、社員を育成する活動では目標から考え、研修等を企画していく必要があります。
ぜひ誰かの感覚で行う人材育成ではなく、経営戦略と密接に結びついた効果的な人材育成を目指してみてください。

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