人材育成を行う上で正しい指導とは?

これからも会社を成長させていく上で大切な人材育成。会社にとって必要な人材を採用し補うことも必要ですが、従業員を業務に応じて指導し人材育成を行っていくことも同じくらい必要なことです。しかし、いざ人材育成に力を入れて指導を行っていこうと思っても、何から手を付けていいのかわからず、結局後回しにしてしまっているという会社の話をよく聞きます。

今回は人材育成のために指導を行う上で、どのようなところに気を付けたらよいのか見ていきましょう。

人材育成における「指導」とは?

とある企業の部長と話した際に、こんな話題が上がりました。
「今年度の目標の一つとして人材育成に力を入れようという話が出ていたのですが、結局目の前の仕事に追われて、まだ何もできていないのが現状です。社内でもたびたび話題には上がるのですが、誰も方法がよくわかってないんですよね。来年度も同じ目標を掲げても変わらないと思うのでテコ入れしないと……。」

冒頭でも話をしましたが、必要と思っていながらも、後回しになっていたり、その場しのぎのために場当たり的に目の前の仕事における指示や指摘にとどまっているという実例をよく耳にします。

では、まず「指導」とは、何なのでしょうか?
辞書を見てみると「ある目的・方向に向かって教え導くこと」(デジタル大辞典より)と定義されています。

人材育成における指導の場合は、目の前の課題に対して、短期間で効率よく解決に導くためにはどのように考え、行動すべきか必要な力を授けることであり、短期的な手法です。

仕事を行う際に上司が部下を指導することにより、部下は成長し、知識を身に着け、どんどんできることが増えるようになります。しかし、誤った指導を行うと、部下の仕事のやる気奪ってしまったり、コミュニケーションを取りにくい関係となり、部下のアイディアなどを汲み取れない状況に陥ってしまう可能性があります。また部下が指導方法に不満があったり、自分の成長に繋がらないと判断した場合、離職につながる場合もあるのです。

人材育成で陥りやすい間違った指導方法

人材育成を行っていると思っていても、なかなか実績が伸びず困っているという企業もあるかと思います。詳しく話を聞いてみると、「指導を行っていても、指導方法が間違っていた」というケースもあります。

でも、なかなか自分では気が付いていないという人も多いのではないでしょうか。
まずは、マネージャーや管理職など上司が陥りやすい間違った指導方法をご紹介します。

  1. 部下に自分で考えさせない

「部下に任せると時間がかかる」「部下の作業時間が読めないので、取引先にも迷惑がかかる」といった理由で、仕事を部下に任せず、自分ですべて行ってしまうケースがあります。自分が仕事をしている姿を見せていれば、近くで勉強できて、それを真似ればできるだろうと思い込んでしまうかもしれません。しかし、人は結局実践を積まないと使いこなすことはできません。部下の成長する機会を奪わないように、気を付けなければいけません。

  1. 上から目線で指導を行う

年齢や役職の関係上、実際に立場が上になってしまうのは事実です。しかし、上司が指導する際にも言葉や態度に威圧感を出したり上下関係を明確に示してしまうと、指導を受ける側の部下は威圧感や嫌悪感を感じ、信頼感を寄せることが出来なくなってしまいます。

上司というのは、あくまで仕事の上の役割にすぎません。人としての優劣や上下を意味するものではないということを忘れず、お互いを尊重しながら部下とコミュニケーションをとり、わからないところを自主的に質問してもらえるような関係を築いて行けるように気をつけなければいけません。

  1. 感情をぶつけるような接し方をする

相手が誰であれ、また内容が何であれ、相手に感情をぶつけるような接し方をすると相手に不快感を与える場合があります。不機嫌な相手というのは、同僚から見ても話しかけにくいと思われますが、部下から見ると恐怖心を抱くケースもあります。

そんな状況で上司に指導を受けると、部下は「何故怒っているのか」原因がわからず、原因を聞くこともできず、自分が悪いのではないかと思い込み、だんだん自ら話しかけることが出来なくなってしまいます。良好な信頼関係を得るためにも、自分の感情をぶつけず、冷静に接するように気を付けなければいけません。

  1. 自分の価値観を押し付ける

自分の方が部下と比較して仕事経験が多く実績も多いという事実はありますが、自分の仕事のやり方や価値観が正しいと押し付けてしまうのは指導方法としてはよくありません。部下にアドバイスを行って、仕事の課題解決に導くことは上司としても大切なことですが、部下のやり方を頭ごなしに否定するのはよくありません。選択肢を設けて、部下にも考える状況を作ると同時に、本人の最適解を出せるような環境作ができるよう気を付けなければいけません。

人材育成のために部下の指導に大切な3つのポイント

では部下との関係性を良く保ちながら、指導を行うためにはどのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。

  1. 目標を明確にする

仕事を行う上で、どのようなゴールを描くのか一緒に仕事を行う上でも明確にしておきましょう。最終ゴールの目標がすれ違っている場合、途中の工程においても差が生じてきてしまい、険悪なムードになってしまう場合もあります。

また仕事だけではなく、部下が将来どのような人材になりたいのかという目標も日々のコミュニケーションで把握しておきましょう。そうすることによって、部下のなりたい人材に近づけるような、指導できるようになります。部下の目標と大きく違う内容の業務ばかりふると、部下のモチベーションを下げることにもつながってしまうため、常に目標を意識していきましょう。

  1. 部下の現状を把握しましょう

指導を行う上で、部下の現状のポテンシャルを下記3点から確認する必要があります。

・今までどのような経験を持っているのか
・資格なども含めどのような能力を持っているのか
・それぞれの業務に対するやる気

今までの経験よりはるかに難易度の高い仕事を与え、苦戦している後輩に対し、「もっとやる気を出せばできると思う」といっても、結局心が折れてやる気を失ってしまいます。また能力の欠けている分野の業務に対し、経験を積めば成長につながるかもしれないと思って人材配置を行うのは、判断ミスにつながる可能性もあります。そして、過度な負荷をかけすぎると、パワハラ防止法における「過大な要求」に抵触するととらえられてしまうこともあるのです。

部下がモチベーションを保ちながら、前向きに業務をこなすためにも、現状を把握しましょう。

  1. 仕事を任せる

最初は部下が業務に慣れるまでしっかりとサポートをして、モチベーションを保つことが優先ですが、ある程度業務に慣れたら、仕事を任せていく必要があります。

いつまでも不安で一から百までサポートをしていると、任せてもらえないことに対しての不満や、信用がないのかもしれないと落ち込んでしまう可能性があります。

ただ、仕事を覚えたらすぐに丸投げとしてしまうと、関係が良好に築けていない場合、部下の方から質問をするのが難しく悩んでしまうことも考えられます。

仕事を任せて部下自らの力で業務をこなしていってもらいつつも、適度に確認を行い、必要に応じて軌道修正を行う機会を設けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

会社がこれからも成長を続けるためには必要な人材育成。
人材育成を正しく行うためには、まず「指導」が何かを理解し、間違った指導方法を行っていないか現状を見直す必要があります。

  1. 部下に自分で考えさせない
  2. 上から目線で指導を行う
  3. 感情をぶつけるような接し方をする
  4. 自分の価値観を押し付ける

また今後「指導」に力を入れて取り組むために大切な3つのポイントをご紹介いたしました。

  1. 目標を明確にする
  2. 部下の現状を把握しましょう
  3. 仕事を任せる

正しく「指導」を行うことで、部下のモチベーションを保ち離職率の低下につなげられたり、モチベーションが上がることによって業務の向上にもつながり、ゆくゆくは会社全体の業績の向上にもつながるのです。
現状問題ないと片付けてしまうのではなく、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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