人財育成の仕組みづくり

中小企業で見落としがちな人材育成の考え方 3つのポイント

社内で人材育成を検討する際、どのような切り口で考えたらいいのか悩むことは多いと思います。自社の人材育成では何を目指しているのか?現状はどうなのか?考えるポイントはあります。本記事では、人材育成で考えるべきポイントについて解説していきます。

人材育成で考えるべきこと

人材育成のモデルが社内にない状況で、経営層から「これから社員の教育に力を入れていくので、教育に関する制度を準備して欲しい」と突然指示が出たとき、あなたならどうしますか?中小企業の管理部門で、ときおり耳にする話です。

もちろん、それまでまったく教育に関する対応をしてなかったわけではなく、資格取得支援制度や新人研修、数年に一度はリーダ研修など、部分的になんらかの人材育成に関することを行なっていると思います。

このような中で、「教育に関する制度を準備して欲しい」と依頼された場合、資格取得の範囲を見直して報奨金を提示すれば社員は興味を示し頑張ってくれるだろうと、ついつい手段を考えがちです。これにより頑張って学習する社員がいるとは思いますが、会社全体の教育環境向上へはつながりにくいものです。

考えるべきポイントは、3年後、5年後に会社としてどのような事業を目指すのか?それを実現するために、どのような人材が必要なのか?この視点から考えるべきなのです。いわゆる人材育成のゴールです。次に考えるべきポイントは現状です。スタート地点です。ゴールとスタート地点なくして人材育成は行えません。そして、ゴールとスタート地点が明確になれば、スタート地点からゴールへ向けた走り方を具体的に考えることになります。この視点で人材育成の考え方について見ていきましょう。

人材育成の考え方のポイント① 事業で求められる人材像

会社の事業は3〜5年後にどのような状態になっているでしょうか?事業の売り上げや利益を高めるために必要な人材はどのような人材でしょうか?最初の一歩として、ここから考えると人材育成の制度を考えやすくなります。

例えば、営業部門ではAという製品を拡販することが、3〜5年後にあるべき事業の姿だとします。製品を拡販するためには、直販をする部門では、新規開拓ができ、製品を提案でき、クロージングできる人材が必要になります。また、代理店販売やチャネル販売をする部門では、代理店を開拓でき、代理店が販売しやすい環境を提供できる人材が必要になります。このような人材が3〜5年後にどのような力量で、どれくらいの人数が必要なのか?

このように、3〜5年後に事業が求める人材という視点で、それぞれの部門や役割で詳細化していくと、事業で求められる人材像が明確になってきます。当然といえば当然のことではありますが、これまでの社内の環境や文化の中で人材育成制度を考えるときに、意外と見落としがちなことなのです。ついつい今必要な人材を考えてしまうからです。

人材育成の考え方のポイント② 社内の現状

3〜5年後に事業で求められる人材像が明確になりましたら、今現在の状況を明確にしていきましょう。

営業部門での例を見てみましょう。現場のリーダーに現状を確認すると、

「クロージングが得意な人材が多い。新規開拓できる人がほとんどいない。」

大きな視点で状況は理解できる内容ですが、これでは、この後の育成計画を立てる際に、「新規開拓をできる人を増やしましょう」という曖昧な計画になってしまいそうです。

もう少し現状把握を深掘りするために、先ほどの事業で求められる人材像を念頭に確認を進めるとより明確にすることができます。事業で求められる人材像が明確になると、現状を把握するうえで、確認するポイントも明確になります。ゴールが見えていると必要な要素を抽出しやすくなります。

もう一度、先ほどの営業部門について考えてみましょう。

直販をする部門の求める人材像
新規開拓ができ、製品を提案でき、クロージングできる人材

新規開拓の状況は?新規開拓ができている人はどのようなことをしているのか?
製品提案はどのように行なっているのか?
クロージングの状況は?できる人のクロージングプロセスは?

具体的にどのような行動をしているのか、行動ベースでの現状を洗い出していくと、より具体的な現状が見えてきます。

人材育成の考え方のポイント③ 中長期的な人材育成計画

将来必要な人材像が見えて、現状の人材が見えたら、そのギャップが見えてきます。人材育成の根幹は、「求める人材能力のギャップを埋めるモデルを作ること」です。3年後に、現状の人材から求める人材の姿になってもらうためには、どのような教育と経験が必要なのか、その方式を検討していくことになります。これが、中長期的な人材育成になります。

直販をする部門の求める人材像
新規開拓ができ、製品を提案でき、クロージングできる人材

直販をする部門の現状から見えてきた指標
年間の新規開拓数や新規開拓ができている人の行動モデル
製品提案の成功パターン
クロージング率やクロージングプロセス

直販をする部門の人材育成計画
新規開拓数やクロージング率の3年間の計画を設定し
新規開拓ができている人の行動モデル、製品提案の成功パターン、クロージングプロセスの要素をOff-JTとOJTで数値目標へ繋げるレベルアップの計画を立てる

このように、数値指標をもとに計画を立てるとより明確になります。能力のレベルアップ指標に関しては、今後のブログで紹介をしていきます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
社内で人材育成を検討する際、何も無い状況から考えるべきポイントを紹介させていただきました。人材育成のモデルを作るとき、大切なことは「考え方」です。考え方の切り口が見えてくると、漠然としていた人材育成や、とにかく学習する機会をつくっていた手段先行型の進め方に比べ、より人材育成の効果を高めることにつながります。

事業で求められる人材像というゴールを定め、社内の現状というスタート地点を知れば、あとは、ゴールへ早く向かえるための手段を社内の状況に合わせて選択していけばいいのです。考え方を知れば、このように人材育成を進めやすくなります。

人材不足の世の中で、社内の人材育成は益々重要な位置付けになっています。本記事の人材育成の考え方のモデルを是非参考にして頂き、自社流の人材育成モデルを作ってみてください。

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