人財育成の仕組みづくり

人材育成のための1on1ミーティング

少し前から話題になり、現在ではすっかり一般的な言葉となりつつある1on1ミーティング。
よく聞く言葉となり、多くの人が上司と部下の1対1のミーティングだ、となんとなくの理解にとどめていたりしないでしょうか。
実は1on1ミーティングは単なる1対1のミーティングではないのです。

今回は、意外と見落とされがちな、1on1ミーティングと人材育成の関係についてご紹介いたします。

人材育成の手段である1on1のミーティング

1on1ミーティングは、ざっくりと、上司と部下の1対1のミーティングだ、と理解している方は少なくないかと思います。
実は私も、先日までそう理解していました。ところが、思い返してみると、上司と部下の1対1のミーティングは、何も1on1ミーティングだけではありません。

期のはじめや終わりにある、目標管理面談や、評価面談も、多くの場合上司と部下が1対1でミーティングを行います。冷静に考えると、上司と部下が1対1でミーティングをすることは、さして新しいことではなく、こんなに世間で一般的な言葉になるほど有名になる理由が見当たりません。

では、何がこんなに1on1ミーティングを注目させたのか。
上司が忙しくなり、部下ときちんと話ができていないからでしょうか?
若手と言われる人の価値観が多様化してきて、接しにくくなってきたと感じる上司が増えてきたのでしょうか?

それらもありうるかもしれません。しかし、多くの企業や、部下を持つ方々はこういうでしょう。
「きちんと部下とコミュニケーションをとっている。」

多くの企業や、部下を持つ方々が、部下とはコミュニケーションをとっていると認識しているなら、1on1ミーティングは今更、という感じがして、世の中に浸透しないでしょう。

実は、1on1ミーティングは、ほかのミーティングや面談、コミュニケーションとは明確な違いがあるのです。
それが、「目的」です。

目標管理面談や評価面談は、確かに上司と部下が1対1で話す場ではありますが、その目的は、企業や組織の経営目標達成のため、適切な評価のためとなっています。そのため、コミュニケーションの内容も、組織や部下の目標の話であったり、会社が下した評価の説明やフィードバックであったりします。

一方、1on1ミーティングは、コミュニケーションの内容が、実に多岐にわたります。
部下の状態に合わせた話題になることがほとんどです。なぜなら、1on1ミーティングの目的が、「部下育成」にあるからです。

すなわち、1on1ミーティングは、人材育成の手段の一つなのです。

人材育成を意識した1on1ミーティング

1on1ミーティングについて少し調べた方は「どんな話題でもいい」という情報を目にしたことがあるかもしれません。ただ、それにはある条件が付いていることが見落とされがちです。
それが、「人材育成の場であることを意識すること」です。

これまで、業務の中で、人材育成のために上司と部下が1対1のミーティングを定期的に行う、ということは、あまり多くありませんでした。
上司と部下が1対1でミーティングを行う場といえば、何かミスをしたとき、というイメージが強く、ざっくばらんに、いろんなことを雑談交えながら教えてもらえる場といえば、業務後の飲みにケーションの場がほとんどだった、という方も少なくありません。

また、企業が人材育成を行う手法として主流だったのは、社員を集めた集合研修や、動画などのコンテンツで学習を行うe

それゆえに、人材育成のために、上司と部下が1対1で定期的にミーティングを行う、というのは新鮮で、注目を受けたのです。1on1ミーティングで人材育成の場であることを忘れてしまったら、ただの1対1でお話しするだけの場になってしまいます。

毎回毎回、取り上げるべき話題があるとは限りませんので、人材育成の場であることを意識して取り組み、結果的に雑談で終わることは悪いことではありません。雑談の中で、信頼関係を深めることができれば、本当に困りごとがあったときにしっかりと話をすることができます。

ふと雑談の中で出てきた話題が、普段の業務と結びついたり、部下が一つ上のステージに上がるきっかけとなる考え方のヒントになったりすることもあります。結果的にただの雑談の時間になったとしても、人材育成の場であることを意識することができていれば、その時間を生かすことができるようになるのです。

忙しい中、せっかく確保した部下との1対1の時間を効果的にするためにも、きちんと人材育成を意識して1on1ミーティングに取り組みましょう。

人材育成を促す1on1ミーティングのポイント

人材育成の場であることを意識しつつ行うことができれば、制約はないというのが1on1ミーティングですが、少し自由度が高すぎて、いざ実施しようと思っても困ってしまうと思います。

そんな時は、ポイントを押さえながら進めると、ある程度方向性が見えて、人材育成の手法として効果的になってきますので、最後に人材育成を促す1on1ミーティングのポイントをご紹介いたします。

  1. 目的を共有する

いきなり上司と1対1で話しましょう、と言われても、部下としては
「何を言われるんだろう」
「何か悪いことをしただろうか?」
「どんなことを話せばいいんだろう?」
「仕事が忙しいのになあ」
と困惑することが多くあります。

1on1ミーティングを実施しよう、と思ったら、まずは部下に目的を説明し、共有することが大事になります。
人材育成の時間であること、部下が仕事に取り組むうえで障害となっていることを取り除くような話ができる時間であることなど、目的を伝え、1on1ミーティングを実施するにあたり、部下の困惑をなくしてあげましょう。

  1. 約束事を共有する

1on1ミーティングでは、1対1というクローズドな時間となるため、無秩序に実施するとトラブル発生の元になることがあります。実施するにあたり、上司・部下双方の信頼関係を構築するために、約束事をしっかり共有しましょう。

例えば、1on1ミーティングでは部下の個人的な相談やプライベート話が出てくるかもしれません。そうした話を安心してできるような場を作るとしたら、1on1ミーティングの場で話した内容は他言しないことを約束した方がいいでしょう。

  1. 共感する

自分の悩みや困りごとを打ち明け、相談することは、勇気がいることです。勇気を出して自分をさらけ出したのに、頭ごなしに否定されたら、どう感じるでしょうか?

1on1ミーティングで部下の話を聴くのであれば、共感することは不可欠です。共感とは、必ずしも部下に同意することではありません。
部下の立場ではそう感じるのか、部下にはそう見えているのか、と知ること、理解することができれば、まずは大丈夫です。

1on1ミーティングは部下のための時間ということを忘れず、悩みや困りごとを打ち明けてくれた勇気に報いるためにも、共感を意識しましょう。

  1. 継続する

せっかく1on1ミーティングに取り組み始めても、1回で終わっては多くの効果は見込めません。人材育成は時間がかかる取り組みです。人材育成の手法である1on1ミーティングも、効果を発揮し始めるまでに時間がかかるでしょう。毎回、目に見えるような劇的な成果を上げる必要はありません。ある程度定期的に実施し続け、その中で徐々に信頼関係を深め、来るべき時に備えればいいのです。

また、前回の1on1ミーティングで話した内容をきちんと思い起こし、その後どうなったか、という話を行うという継続も大切です。

人材育成の場であるので、1on1ミーティングで話した内容には責任を持ち、回答したらしっぱなし、にはせず、その後も継続して気にかけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

意外と誤解されがちな1on1ミーティング。実は人材育成の手法の一つだったのです。
そして、人材育成を促す手法として機能させるために、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。人材育成に悩んでいるときは、一度人材育成の手法の一つとしての1on1ミーティングも、検討してみるといいかもしれません。

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