人財育成の仕組みづくり

中小企業の人材育成計画作成 3つのポイント

中小企業では少数精鋭で経営をしている企業が多く、目の前の業務をひとりで出来るようになることが求められます。そのため、適材適所の人材育成より、今の業務ができる人材育成になりがちです。しかし、企業が成長するためには、短期的な視点だけではなく、今後を見据えた中長期的な人材育成計画に目を向ける必要があります。では、中長期的な人材育成計画にシフトしていくときに、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
本記事では、中小企業で人材育成計画を作成する際に注意すべき3つのポイントについて解説していきます。

人材育成で中小企業がかかえる課題とは?

社員数が増えてきて、これからもっと成長する企業になるためにはどうしたらいいのだろう?と考えたとき、人材育成にもっと力を入れたいと多くの企業が考えると思います。
目の前の業務を一人で出来るようになることも重要ですが、長く、そして多岐にわたる業務をこなせる人材を育てることは、企業にとっても大きな強みになります。

しかし、実際に人材育成担当者に話を聞いてみると「計画を立てるように言われているけど、全然できていないんだ……。」となかなか手が出せていない人が多くいらっしゃいました。

何が原因なのでしょう。

話を詳しく聞いてみると、「人材育成計画を作成するノウハウや時間がない」ということが多くの担当者の頭を悩ませていました。

本来、人事育成計画は、メンバーが各自のスキルを計画的にスキルアップしていき、会社が目指すビジョンを実現できる人材を増やすことが目的です。しかし、人手不足により本業と兼業で計画作成を担当している人が多く、本業を優先した場合どうしても計画を作成するための時間を確保するのが難しくなります。

人材育成計画を作成した経験がある人に任せても、実はゼロベースから作成したことがなく、ノウハウ不足に陥ってしまうこともあります。自分が専門的な知識やスキルを持っていたとしても、いざ計画に落とし込む段階になると、伝える順番や道筋などを考えるのが難しく、ついつい計画の作成を後回しにしてしまいがちです。また、コロナ禍の影響により、対面形式で行っていた研修がリモートに切り替わったなど、今までの計画が使用できなくなり再度計画を立て直さなくてはいけなくなったという企業も多いと思います。

では実際にどこから始めたらよいのでしょうか?

人材育成計画のポイント① 会社が求める人材像をビジョンと共に示す

まずは会社が求める人材像をビジョンと共に示してみましょう。

そもそも人材育成は会社が今後さらに成長するための手段のひとつになります。

以前にとある企業の社長さんと話していた時に「どうして人材育成が必要なのか?」と社内の人材育成担当に尋ねたところ『社員のみんなに成長してほしいからです!』と返事があり、手段が目的になってしまっていたというお話を聞きました。

重要なことは、会社が今後どうなっていきたいのかという目標を明確にし、その目標を達成するためにはどのような人材が必要なのかビジョンを示すことです。

プロジェクトを進める際にも目的や目標が明確になっていない場合、メンバーの方向性が合わなくなり十分な力が発揮することができなかった、希望と異なる結果になってしまったといったご経験はありませんか?

人材育成も同じです。
社員それぞれが一生懸命頑張っていても、目的が明確になっていない場合、結果的に無駄な努力をしている可能性もあります。また、同じ目標に向かって切磋琢磨しながら進んでいるのか目標がなく淡々と個人でこなしているだけだと、社員のモチベーションやチームの結束力にも大きな差が生じるでしょう。

人材育成計画のポイント② 求める人材像へ向かう道筋を報酬と共に示す

次に求める人材像へ向かう道筋を報酬とともに示しましょう。

成長後のビジョンを描けたら、まず今は何ができるのかそれぞれの現状のスキルを把握しましょう。そして、今後ビジョンに近づくためには「どのような学習をしたらよいのか」「どのような経験を積めばよいのか」「いつまでの目標なのか」をロードマップで示しましょう。
ロードマップに落とし込むことによって可視化することができ、抜け漏れを防ぐと同時に今後の成長肯定も想像しやすくなります。

この時に重要なのが報酬を等級と連動させて示すということです。
事業の成長につながる自己成長やスキルアップに対し、会社は評価をすることにより社員の意欲が一層高まります。

以前とある企業で人材育成計画を立てた際に、今まではなかった資格取得報酬や資格による特別手当の導入を試しに行ってみたという話を聞きました。「いつも業務に追われている社員が多かったから資格に興味ないと思ってたんですよね。でも、制度の導入により社員が資格を取ってみようかなと思うきっかけになったみたいで想像より受けてくれる人が多くて、結果的に会社全体のスキルアップに繋がったんですよ。」

また、今まで上司から評価をしてもらえず悩んでいた社員が、評価制度の制定により自分と評価項目が違っていたことに気が付きました。そこで課題点を見直した結果、営業成績も社内の評価も上がったという別の成長例もあります。

評価制度を整えることによって、社員ひとりひとりが出す成果がのび、ゆくゆくはチームの成果にも繋がります。またチーム内でもひとりの行動力に感化され、向上意識の横広がりも期待できます。継続的なチームの成果向上のためにも、社員ひとりひとりの日常の行動調整による成長リズムを生み出せるような計画づくりを意識してみましょう。

人材育成計画のポイント③ 求める人材像へなるための環境を提供する

さいごのご説明です。求める人材像になるための環境を提供しましょう。

それぞれの社員が自分のスキル向上のために自主的に行動をしてくれることが理想ですが、業務内容にも差があるため全員に求めるのは難しいのが現実です。
また、会社の制度を活用し積極的に研修を受けたいと思っていても、部署が常に忙しいため言い出しにくいことはないでしょうか。繁忙期と研修がかぶっていてなかなか参加できないといったように立場やタイミングによっても、研修が受けにくいと感じたことのある経験がある人も少なくないのではないでしょうか。この場合、そのままの状態を放置していると個々のスキルに差が広がり、今の業務ができる人材育成から抜け出せない可能性があります。

社員ひとりひとりの成果で終わるのではなく、チームの成果につなげ事業を成長させるにはどうしたらよいのでしょうか。そのためには研修やeラーニング、OJTなど学べる機会を計画段階から確保し、会社が求める人材像になるための環境づくりの提供が必要になります。知識と経験値を体系的に積める環境をロードマップに即して提供することによって、個々のスキルアップにつなげることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
それぞれの仕事量が多く、コロナ禍により今までのノウハウを活用できず、ついつい時間がかかり計画を立てるのを後回しにしがちです。またリモートワークの推進により、ますます個々の現状が把握しにくい状況が増えつつあります。

しかし、今後企業がさらなる成長を遂げるためには、個々のスキル向上はもちろん、さらにチームそして企業としての成長につなげるための仕組みづくりが重要になってきます。

3つのポイント
・会社が求める人材像をビジョンと共に示す
・求める人材像へ向かう道筋を報酬と共に示す
・求める人材像へなるための環境を提供する

これらを人材育成計画作成段階で意識することによって、会社そして個々の目指すべきビジョンが明確になり、より意欲と結束力が高まります。
また個々のスキル向上のために必要な研修やeラーニング、OJTを計画に組み込むことにより、全社員がスキルアップの機会を得て、会社の成長へと繋がっていきます。

このように人材育成計画を立てる目的を明確化することによって、会社の現状も把握でき、今後の課題点なども見つけることができます。つい後回しにしてしまいがちな課題ではありますが、ぜひ取り組んでみてください。

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