タレントマネジメント

タレントマネジメントで公平性・納得性・客観性のある人事評価を実現するには

タレントマネジメントとは、組織の戦略に沿って、従業員の採用や育成、配置、評価などの人事施策を、戦略的に管理する人事戦略です。様々な従業員情報を見える化することによって、いろいろな意思決定を戦略的に、データに基づいて行うことができます。

なかなか公平で、納得性のある、客観的な人事評価の実現は難しいもの。タレントマネジメントを活用すると、人事評価はより公平で、納得性があり、客観的なものになるのでしょうか。

今回は、タレントマネジメントを活用した、人事評価のポイントについて解説します。

タレントマネジメントと人事評価の課題

人事評価には、常に下記のような悩みがつきまといます。

「評価を上司に委ねているが、本当にメンバーを公平に評価できているのだろうか?」
「評価面談を行って、きちんと評価と理由を伝えるようにしているが、フィードバックを受けたメンバーは納得してくれているのだろうか?」
「人が評価している以上、どうしても主観が入ってしまう。どこまで人事評価に客観性を確保することができるだろうか?」

多くの企業が悩みながら、工夫してできるだけよい人事評価にしようと努力しています。あるいは、あきらめて、明瞭な人事評価を避けるという選択をとる企業も少なくありません。

しかし、人事評価は従業員のモチベーションや満足度に大きく影響します。人事評価に、公平性や納得性、客観性がなければ、従業員は会社から自分を正当に評価されていると感じることができず、不満や不信感を持つようになります。にもかかわらず、人事評価は主観的な要素が多く、評価者や評価基準によってバイアスが生じる可能性は否めません。

この課題を防ぐためにも、人事評価のプロセスや方法を透明化し、従業員に十分な説明やフィードバックを行うことが必要です。
ここで、従業員情報の見える化が行われる、タレントマネジメントが活用できます。

タレントマネジメントを活用し、従業員情報の見える化が行われると、従業員がどのような仕事に取組み、どのような成果を出しているかがわかります。また、スキルや行える職務といった情報も明確になっているので、組織やチームにとってどういう人材であるのかも、客観的に示されます。

そして、会社で決められた人事評価が見える化されている情報に基づいた評価であり、なおかつどの程度達成しているかが明確に見える化されていると、従業員に十分な説明やフィードバックも行いやすくなります。

このように、人事評価には様々な課題がありますが、課題を解決するにあたり、タレントマネジメントが活用できる場面が多くあるのです。

タレントマネジメントを活用した人事評価で個人の成長や業績を評価

では、人事評価の課題を克服し、タレントマネジメントを活用しながらどのような人事評価を行えばよいでしょうか?

まず、人事評価の課題である、公平性・納得性・客観性の実現については、下記のようなポイントを抑えるとよいでしょう。

  1. 評価基準や指標を明確化し、従業員に事前に共有すること

タレントマネジメントを活用すると、様々な従業員情報が見える化されます。見える化された情報の中で、何を企業・組織として評価するか。企業・組織として評価すべき基準や指標はすべてタレントマネジメントで見える化されているか。
このようなことを確認しながら、会社、組織、チームで、評価基準や指標を明確にしましょう。

また、各従業員の情報すべてを全従業員に公開する必要はありませんが、評価基準や指標については、共有するようにしましょう。

  1. 評価者を多角化し、複数の視点から評価すること

近年は360度フィードバック、360度評価等、人事評価に客観性を持たせるべく、一人の評価者に定めず、複数の視点から評価するという手法が増えてきています。

タレントマネジメントを活用すれば、様々な人からの評価、フィードバックを見える化することもできます。評価者を多角化、複数の視点から評価することで、できるだけ人事評価に客観性を持たせるように工夫しましょう。

  1. データや証拠に基づいて評価すること。

人事評価に公平性や客観性を持たせるためには、データや証拠、事実に基づいて評価することが大切です。
タレントマネジメントを活用すると、従業員の様々な情報が見える化されているので、これらの情報に基づいた人事評価を行えるようになると、公平性や客観性がぐっと増します。

  1. 評価結果に対してフィードバックやコーチングを行うこと。

タレントマネジメントを活用とは少し外れますが、やはり人事評価に納得感を持っていただき、次につなげていくためには、人事評価結果に対してフィードバック、コーチングを行うことは不可欠です。

忙しいのは重々承知ですが、評価して終わり、ではなく、人事評価結果に対してきちんとフィードバックやコーチングを行う時間を確保しましょう。

これらのことを抑えれば、公平性や客観性、納得感を持った人事評価になってきます。
しかし、苦労して人事評価を行うのであれば、これに満足することなく、さらに目指していただきたいことがあります。

それは、「個人の成長、業績を評価する人事評価」です。

人事評価は、従業員の能力や貢献度だけでなく、成長や学習も重視することが求められます。企業や組織としては、従業員が成長すると、それだけ企業や組織の出来ることやパフォーマンスの拡大向上につながります。企業や組織にとって好ましい事です。企業や組織にとって好ましいことであれば、しっかり評価することが、従業員のモチベーションや満足度につながります。

一方で、個人の成長や学習は定量的に測定することが難しく、評価基準や指標を設定することが困難なので、個人の目標や計画を明確化し、自己評価や相互評価を活用していくという手法がよく使われます。

これもタレントマネジメントを活用することで、下記のようなポイントを押さえていきましょう。

  1. 個人の目標や計画を設定し、定期的に見直しや調整を行うこと

タレントマネジメントを活用すると、個人の目標や計画も見える化できます。年に1、2回評価の時だけ思い出すようだと、目標や計画は形骸化してしまうので、タレントマネジメントを活用して見える化を行い、常に確認できるようにしておきましょう。また、業務を進めるうえで、非現実的な内容があれば、定期的に見直しや調整を行いましょう。

  1. 成長や学習に関する指標や活動を定義し、記録や報告を行うこと

成長や学習に関する指標や活動の定義というとイメージしづらいですが、代表的な例を挙げると、研修やeラーニングの受講などになります。業務にあたって、今後にあたって、どんな

学習が必要か。上司や企業・組織と合意をとり、定められた期間のうちに、関連する研修やEラーニングを受講したか、きちんと記録しておくことが必要です。
タレントマネジメントを活用すると、学習に関する記録も見える化することができるので、参考にしましょう。

  1. 自己評価や相互評価などを活用し、自己認識や他者認識を高めること

自身の学習や、目標に対してのアクションがどうであったかの評価は、頑張った、という自己評価にとどまらず、他者から見てどうだったかという他者評価も踏まえた相互の評価が確認できると、より正確な自己認識につながります。

タレントマネジメントを活用すると、目標や目標に対してのアクションも見える化できるので、他者が従業員の頑張りを認識することもでき、より効果的な相互評価が行え、正確な自己認識につなげていくことができます。

タレントマネジメントを活用した人事評価で組織の成長を追う

ここまで、タレントマネジメントを活用した人事評価で、公平性や納得感、客観性を持たせるポイントと、個人の成長、業績を評価することについてお伝えしてきました。

ここで一つ、考えてほしいことが、「何のために人事評価をするか」ということです。そもそも企業・組織が従業員を人事評価していくのは、従業員の活動や業績が、企業や組織の成長と密接に結びついているからです。

そのため、企業や組織に貢献してくれる従業員を高く評価する、という話になります。であれば、人事評価が企業や組織の戦略やビジョンに沿って行われるべきです。

ところが、人事評価は個人レベルで行われることが多く、組織レベルでの目標や成果と連動していない場合があります。また、短期的な業績に偏りがちで、長期的な業績にフォーカスしたり、イノベーションを促進したりすることができない場合もあります。

この問題を解決するためには、組織の目標や戦略を明確化し、個人の評価と組織の評価を整合させる必要があります。ここでもタレントマネジメントが活用できます。従業員情報だけでなく、タレントマネジメントで組織の目標・戦略を見える化しておくのです。

組織の目標、戦略に対して、組織の成果や業績も、従業員と同じように指標を定め測定し、従業員が常に確認できるようにしておきましょう。そして、従業員個人の目標や計画は、組織の目標・戦略と連動するようにし、その貢献度が人事評価に反映しておきます。

こうすることで、個人の成長や業績が組織の成長・業績とリンクし、公平性や納得性、客観性を持った人事評価を実現することができるのです。

まとめ

いかがでしたか?

公平性や納得性、客観性を持った人事評価を行うのは簡単ではありませんが、タレントマネジメントを活用することで、実現に一歩でも近づくアクションをとることができます。

押えてほしいポイントとして、個人の成長や業績が組織の成長・業績とリンクさせることについても簡単に言及しましたが、実際取り組むのは難しいかもしれません。場合によっては専門家にも相談しつつ、タレントマネジメントを活用しながら人事評価を設計していきましょう。

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