人事評価から見た人材育成との関係性

人事評価は人材育成と切っても切り離せない関係にあります。しかし、人事評価がうまく機能せず、不満や離職原因の温床となることも少なくありません。なぜ、人材育成と密接な関係にある人事評価が、会社の成長の足を引っ張る原因になってしまうのでしょうか。また、会社が負のサイクルに陥らないために気を付けることはあるのでしょうか。今回は、【人事評価】の基本や落とし穴、効果的に機能させるポイントについてご紹介していきます。

人材育成と人事評価の関係

先日とある会社の人事の方から「この間行われた社内会議で、『人事評価がうまく機能していないこと』が自社の今年の課題としてあがりました。次の会議までに良い案をまとめて提案してほしいと言われたのですが、何も思いつかず困っているんです。」という相談を受けました。

そもそも人事評価とは何なのでしょうか?
人事評価とは「一定期間の仕事や目標の出来栄えを、当初の予定と比較すること」です。実際に人事評価をする上で大事なポイントは次の2つとなります。
・人を評価せず、仕事の出来栄えを評価すること
・感情を持ち込まず、事実をもとに判断すること

近年リモートワークが進み、直接会う機会が減り、以前と比べて仕事の出来栄えが見えづらくなりました。それに伴い、ジョブ型の人事制度がトレンドとなっています。
「既に人事評価制度はあるが、私たちの会社も注目されているジョブ型に変更したほうが良いのか?」と不安になる方もいらっしゃるかと思います。しかし、ジョブ型であっても、そうでなくても、実は評価の大きな流れは変わらないのです。
評価の流れは大きく分けて「目標の設定」⇒「中間レビュー」⇒「修正」⇒「評価」の4項目に分かれます。
ジョブ型とそれ以外の評価の違いは「目標」の中身です。ジョブ型の場合は、目標が入社前から事前に職務や仕事の結果として定められているのです。目標の中身や設定のタイミングに違いはありますが、いずれも目標管理がベースとなります。

部下を成長させる、最も速く効果的な方法の一つに、「フィードバック」があります。「褒めて伸ばす」という言葉があるように、人はポジティブフィードバックを受けることで向上心が湧きます。また、他人からのフィードバックにより、自分では気づきにくい問題点に気付くこともあります。今後も会社が成長していくためには社員ひとりひとりの成長が不可欠となります。
そこで、人事評価にはこの「フィードバック」の機会を設けることが重要になるのです。
先日もあるエンジニアの方が「この間不具合が起きたときに、自分は最善の策で動いて不具合を解消したのに、上司からはあまり評価がよくなかったんです。どうしてなのか知りたかったんですけど、プロジェクトが終了してしまい、もやもやだけが残っています。」という残念な気持ちをお話しされていました。評価のみのフィードバックを行った場合、評価をした側とされた側で認識にずれが生じ、意図が正しく伝わらないことがあります。そのような事態を防ぐためにも評価面談を設け「なぜこの評価なのか根拠を伝えることが大切です。適切な人事評価を行い、フィードバックすることは、人材育成にも大いに有効で、会社のさらなる成長へとつながります。
これが、人事評価と人材育成は切っても切り離せない関係といわれる理由なのです。

人事評価の落とし穴

ところが、人事評価がうまくいかず、紛糾したり、形骸化したりして、結果的に相乗効果が得られず、人材育成に有効なイメージがあまり湧かないという企業のお話を今までも数多く聞いてきました。
ただでさえ忙しい年始から年度末にかけてのこの時期。人事評価の導入を提案しても、「評価の仕方がよくわからない」「面談をする時間なんて取れない」「目標がよくわからない」「上司の評価に納得がいかない」「部下の自己評価が高すぎる」「リモートで空気感が伝わらない」なんて現場から不満の声が多く、なかなか踏み切れない……。そんな状況に陥っている企業も多いのではないでしょうか。
人事評価は一定の期間が必要となるため、半年に1回と設定している会社が多いかと思います。しかし、抱えている自分の業務に追われ毎日多忙の中、いきなり評価制度の導入を行っても、評価する側は部下の目標や業務を細かく把握できていなかったり、評価される側も自身がどれだけ会社に貢献してきたか上司にうまく伝えられなかったりと、どちらもうまく活用できないまま制度自体が消滅してしまっても不思議ではありません。さらに、急に評価制度を導入しても双方が納得いく評価ができるとも思えません。
では、成果だけ見る成果主義や、業務や役割を明確にして業務内容に応じた結果を評価するジョブ型人事制度を導入したほうが受け入れられて導入がスムーズに進むのでしょうか。答えは「NO」です。実は、制度が根本的な問題ではないのです。成果主義にしても、ジョブ型にしても、導入の際には社内で不平不満は出てきます。なぜなら、どの人事評価を行う際にも「目標管理」から逃れることができないからです。

企業の人材マネジメントについて研究している学習院大学 守島基博教授によると、人事評価に使っている目標管理制度で最も重要な「現場の上司と部下のコミュニケーションを密にしながら組織の目標と個人の目標を近づけ、部下のモチベーションを高めたり、育成につなげたりして目標達成していく」という観点が抜け落ちてしまっていることが、人事評価で不平不満が出てくる原因だそうです。

上から提示された目標を、部下に「上から言われているから」とそのまま伝える、なんてことはしていませんか?
また「普段リモートで会わない上司は、自分の業務をわかっていない」と評価に納得していないことはありませんか?
多忙な現場社員の皆様が、日ごろから上司や部下とコミュニケーションを密にとるのは非常に難しいことかもしれません。リモートワークが普及し始めている今日では、なおさらです。しかし、人事評価で最も重要なのは【コミュニケーション】。普段からコミュニケーションを取らなければ、上司と部下の間に信頼関係なんて生まれることはありません。そうなると信頼関係のない相手から評価されても納得することなどできないという負の連鎖に陥り「部下を最も速く成長させる効果的な方法」であるフィードバックが機能しなくなってしまうのです。

人事評価を効果的に機能させるポイント

では、人事評価を効果的に機能させて人材育成に生かすためには、どうしたらよいのでしょうか。

重要なポイントは2つあります。
1つ目は普段からのコミュニケーションです。人事評価のたびに過去の資料を漁り、部下の目標や行っていた業務のことを思い出すのは正直面倒でそこまで労力はかけられないという人も多いかと思います。そこでリモートワークの環境下であっても、普段から部下とコミュニケーションを取り、日々気になったことや感じたことを一言日記のように記録しておくだけでも、先ほど言ったような面倒はぐっと減らすことができます。

2つ目は評価する側の育成です。
人事評価は感情を持ち込まず事実を評価する必要がありますが、どうしても感情が混じってしまうことがあります。これを、人事評価では心理的なエラーといいます。
例えば、好き嫌いや印象で評価してしまうハロー効果や、自分を基準に比較評価してしまう対比誤差など、心理的なエラーにも様々な種類があります。そのため、評価者は心理的なエラーがあることを学び、意識的にエラーを回避する必要があります。
ほかにも、貴重なフィードバックの機会である評価面談の位置づけを勘違いしてしまうケースも多々あります。評価面談は「評価結果を伝える場」であり、ここで評価を変えることはありません。評価面談の流れは大きく5つの項目に分かれており、流れをしっかりと抑えて被評価者が次のステージに向かっていけるように誘導するのがポイントです。
① 頑張ってくれたことへのねぎらい。
② 自己評価の理由を聞く。
③ 最終評価とその理由を伝える。
④ 評価が違う点について、本人の言い分を聞く。
⑤ 改善ポイントと、来期への期待を伝え、励ます。
このことを知らずに評価面談に臨むと、心理的なエラーが生じてしまったり、部下を最も速く成長させる効果的な手法であるフィードバックが機能しなかったりしてしまいます。
このように、評価をする側も学ぶことは多くあります。そして、評価が機能すれば、評価する側も、される側も成長できる部分が多いのです。これが、「人事評価が人材育成に有効」といわれる所以です。

まとめ

いかがだったでしょうか。
企業が成長していく上で、人材育成は重要になりますが、その人材育成と切っても切れない関係にある人事評価。負の連鎖に陥って人材育成の打ち止めを防ぐためにも、人事評価は重要な役割を担っています。
普段からなるべくコミュニケーションに重きを置いて、評価の際に「なぜこの評価なのか」と理由をフィードバックできるよう評価する側も成長することにより、評価される側も評価を受け入れ自分の課題点に気が付きさらなる成長へとつなげることができます。この相乗効果が企業の成長へとつながるのです。
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