人財育成の仕組みづくり

業務改善が目的にならない人材育成方法とは

ある日あなたが上司に呼び出され「現在やっている仕事のうち、何か1つ業務改善案をあげてください。」と言われたとき、あなたはどのような改善案が浮かびますか?ある人は自分のプロジェクトのためにITやロボットなどテクノロジーを導入しようと考え、ある人は業務マニュアルの作成による作業の効率化を思いつくかもしれません。実は、業務改善と人材育成は切っても切れない関係にあります。今回は、人材育成と業務改善の関係と、業務改善をマネジメントできる人材を育成するヒントについて紹介していきます。

人材育成と業務改善の繋がり

「業務改善と人材育成は切っても切れない関係にある」と前述しましたが、お互いどのような関係性なのか、まだイメージできていない方もいるのではないでしょうか。
では、自分の業務に置き換えて「もしイメージしている業務の関係者全員が仕事のできる人で、業務効率も良い人だったら?」と想像してみてください。あらゆる業務がとてもスムーズに進み、現在悩んでいることも減って、ストレスも軽減されるのではないでしょうか。このように、業務を進めるうえで一番良い状態のイメージを基に、現状をより良い状態に近づけるための業務改善を考えた際、人材育成を語るケースは多く見受けられます。

例えば、厚生労働省が出している「業務改善助成金」は、人材育成・教育訓練に係る費用も助成対象となっており、活用事例では下記のようなものがあります。
〇業務改善助成金活用事例(人材育成・教育訓練)
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000837401.pdf

事例によると理美容業界では、美容に関する専門技能を習得するために教育研修を実施することで、施術時間の短縮につながりました。また建設業界では、スキルアップによる作業内容の改善と作業員の意識改善を行う社内研修を実施したことにより、業務改善につながりました。このように、人材育成を通じて、業務改善への様々なアプローチ方法があるのです。

人材育成による業務改善にチャレンジする前に押さえておきたいこととは?

人材育成をすることによって業務改善に繋がるということは前述の事例からも結果が出ておりますが、人材育成が業務改善のすべての答えかというとそうではありません。

人材育成による業務改善に取り組む前に、一度考えてほしいことがあります。
それは「業務改善が目的になっていないか?」ということです。
業務改善は稼働効率を上げるうえでも重要なことですが、それ自体が目的ではありません。改めて考えてみると、何か別の目的があり、それをより良い状況にするための選択肢の一つとして業務改善があるはずです。
例えば【長時間労働を改善する】という目的があると仮定しましょう。その場合、まずは残業をなくそうという流れになるはずです。残業をなくすためには、定時に仕事を終わらせないといけません。
では業務を定時までに終わらせるには、どのような選択肢があげられるのでしょうか。1つの方法として挙げられるのは、人を増やして業務を分散させるという方法です。また、別の方法として業務自体にかかる時間を短縮できるように業務改善を考えることもできます。
上記の例からもわかる通り、ある目的を達成するための手段が複数ある中で、業務改善を選択しているのであって、業務改善そのものを実現することが目的ではないことを忘れてはいけません。

また、業務改善と一言で言っても、たくさんのアプローチ方法があることも忘れてはいけません。
例えば、飲食業界の場合、多機能レジスターを導入することで、これまで手作業で行われていたレジ作業と集計作業が効率化されました。これは機械やIT、テクノロジーの導入による業務改善となります。この話をすると「従業員の育成はしなくても、最新の機械を導入すればどうにかなるということですか?」と質問されることがあります。しかし、それは違います。他の選択肢として従業員の手作業のスピードを上げるために、計算や集計スキルを身に着けるという人材育成による業務改善もあります。
機械やIT、テクノロジーの導入による業務改善、人材育成による業務改善、どちらかが正しいというわけではなく、何を目的に業務改善に取り組むかによって有効な選択肢が大きく変わってきます。そのため、似たような事例でもそれぞれの背景や状況が違うと異なる選択肢が生まれてくるのです。
業務改善を行う際には、目的を見失っていないか今一度確認してみましょう。

業務改善をマネジメントできる人材を育てる5つのポイント

「明日から早速業務改善を社内でも行っていこう!」と思っても、何から始めたらいいのか、継続して行っていけるかという不安が生まれてくる企業も多いのではないでしょうか。
そんな不安を解決するためにも、社内に業務改善をマネジメントできる人材がいれば、いつでも業務改善に取り組むことができますし、常に業務改善を重ねることにより企業の継続的な成長に繋がります。

では、業務改善をマネジメントできる人材を育成するにはどうすればいいのでしょうか?
今回は押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

① プロジェクトマネジメントの進め方を知る

まずは業務改善というプロジェクト自体のプロジェクトマネジメントの進め方を知ることが大切です。何のための業務改善なのか目的を明確にし、プロジェクト計画の策定、進捗管理、ステークホルダーへの報告など、プロジェクトマネジメント全体の進め方を知る事で必要な知識を身に着けましょう。

② 効果的なヒアリング方法を身に着ける

業務改善を行うには、現状を知るためにも当事者や関係者へのヒアリングが不可欠になります。関係者へのヒアリングを実施する前の段取りから、実施後のドキュメント化までの一連の流れを習得しましょう。

③ ドキュメント情報の効果的な取得方法を理解する

業務改善を行うには、ドキュメントから得られる情報の扱いも、とても重要になってきます。書類の効果的な読み込みスキルと、俯瞰した情報のまとめ方を身に着けましょう。

④ プロセスマップの作成方法を身に着ける

プロセスマップとは、1つのプロセス内のワークフロー構造を、視覚的に表した図のことです。(※1)
業務改善を行うためには、プロセス内のワークフロー構造を理解することがポイントになってきます。業務全体の構成要素と関連性をプロセスマップとしてまとめる方法を身に着けましょう。

⑤ 業務フロー・手順書の作成方法を身に着ける

プロセスマップができたら、具体的なアウトプットの段階に進みます。プロセスマップをもとに、業務内容の詳細化を、業務フロー・手順書に落とし込む方法を身に着けましょう。

これらの知識やスキルを身に着けて、インプットからアウトプットまでマネジメントできる人材を育成していくことにより、継続的に成長する組織を作ることができます。この成長が、企業の成長に繋がっていくのです。

(※1)公益社団法人企業情報化協会 BPM推進プロジェクトより

まとめ

いかがだったでしょうか。
企業の現状を見直し、今後の成長につなげていくためにも重要なポイントになってくる【業務改善】。
しかし、業務改善を行うこと自体が目的になってしまい本来の目的を見失ってしまう事例が多いです。そのため何を目的に業務改善に取り組むかを見失わないことが大事になります。
また1回の業務改善で終わることなく、継続的に行っていくためにも、業務改善をマネジメントできる人材の育成が大きなカギとなります。
切っても切れない関係にある業務改善と人材育成。
今後の企業の成長につなげるためにも、今一度【業務改善】に注目してみましょう。

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